
「魔法のような二刀流」「興奮を呼び起こす161.3キロ」米メディアは1回1失点も大谷翔平の復帰登板を絶賛…敵地新聞も「今季のどこかで本物の先発投手として前進してくる」と警戒
ドジャースの大谷翔平(30)が16日(日本時間17日)本拠地でのパドレス戦で、「1番・投手」のリアル二刀流で先発出場し、エンゼルス時代の2023年8月23日のレッズ戦以来、1年10か月ぶりの復活マウンドに立った。1回、28球を投げて2安打1失点。逆球やボールが引っ掛かる場面もあったが最速は161.3キロをマークするなど、2度目の右肘手術を行った影響を感じさせないスピード、球威、キレをアピール。米メディアからは絶賛の評価が相次いだ。
「本塁打争いのトップが約161.3キロを投げることに合理的な説明はつかない」
わずか1イニングだったが、大谷の663日ぶりの二刀流復帰登板は全米へ衝撃を与えた。
パドレスの看板選手の一人、フェルナンド・タティスJr.3年連続首位打者のルイス・アラエスに連打を浴び、無死一、三塁のピンチを迎えるも、そのアラエスへの4球目に最速となる100.2マイル(約161.3キロ)をマークしたのだ。3番の“スーパースター”マニー・マチャドには、疑惑のハーフスイング判定で、三振を逃して、センターへの犠飛を許して、いきなりドジャースでの初登板は失点デビューとなった。しかし。ガビン・シーツ、ザンダー・ボガーツと続けて内野ゴロに打ち取って、28球で、2回からマウンドを2番手のアンソニー・バンダに譲った。
逆球や指にボールが引っ掛かる場面もあったが、160キロ以上を2球数えたフォーシーム、鋭く曲がるスイーパーは威力十分で、スプリットはたった1球と温存した。
また1イニングを投げ終えると、大谷はベンチに下がらずベンチ前でレガースや肘のプロテクターなどを付ける準備を行い、1番打者としての出場に備えた。デイブ・ロバーツ監督は、打順変更も考えたが、大谷が1番での出場を希望したという。
2回からは「大谷ルール」により「1番・DH」で出場を継続し、3回二死三塁から左中間へ同点のタイムリー二塁打を放ち、自らの失点を取り返した。さらに4回にも二死一、二塁から、見送ればボールの高めのストレートを強引にライト前へもっていって、この日、2打点。6―3の勝利にまさに二刀流で貢献した。
米メディアからは絶賛の声が相次いだ。
米スポーツサイト「ジ・アスレチック」は「大谷がドジャースのマウンドで1イニングの復帰を果たして100マイル(約160.9キロ)超え」との見出しを取り「大谷の芸術的才能は考えられないことを普通のように見せる能力だ。本塁打争いでナショナル・リーグのトップを走る選手が、投手となって100.2マイル(約161.3キロ)に達する速球を投げることに合理的な説明はつかない」と称えた。そしてさらにドジャースでの二刀流デビューをこう表現した。
「ドジャースはこれまでディズニーランドの影にあるスタジアム(エンゼル・スタジアム・オブ・アナハイム)で大谷が二刀流のピークに達したところを遠くから見るだけだった。彼らはこの魔法(のような二刀流)を彼らのユニホームで実現させることを何年も夢見てきた。月曜の夜、パドレス相手の1イニング、28球を通して、彼らはついにそれを目にすることができた」
対するパドレスの地元紙サンディエゴユニオントリビューン紙も大谷を称賛した。
「大谷の2023年9月の手術以来、初めての登板、ドジャースでの初の登板がドジャースタジアムを野球界の中心に押しやり、遅刻することで悪名高いロサンゼルスのファンでさえ早く球場に来ることを促した」と紹介した上で、「彼はルイス・アラエスへの1球に100マイル(約160.9キロ)を記録してナショナル・リーグ西地区に戻ってきたという事実を示した。リーグ最高の打者は、再び投手として、シーズンのどこかでおそらく本物の先発投手として前進してくるだろう」と続けた。