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阪神が緊急補強したハートウィグ。シンカーとスイーパーを武器に奪三振率の高い変則の中継ぎ右腕だ(写真・アフロ)
阪神が緊急補強したハートウィグ。シンカーとスイーパーを武器に奪三振率の高い変則の中継ぎ右腕だ(写真・アフロ)

阪神の救援防御率1点台なのになぜ?“セ界”独走の虎が中継ぎ右腕ハートウィグを緊急補強した狙いとは…医学部進学の学位を持つ最速156キロで奪三振率の高い異色“変則シンカー投手”

 セ・リーグの首位を独走する阪神が14日、メッツ傘下の3Aシラキュースでプレーしていた変則の中継ぎ右腕グラント・ハートウィグ(27)の獲得を発表した。背番号は「82」。マイアミ大時代に医学部進学の学位を取得して整形外科の医師を目指していたという異色の経歴を持つ変則シンカー投手。阪神がこのタイミングで中継ぎ右腕を補強した狙いとは?

 「優勝に向けてできる限りのパフーマンスで貢献したい」

 7月末に迫る補強期限を前にセ・リーグの首位を独走する阪神が中継ぎ右腕を緊急補強した。ハートウィグは、2023年にメッツでメジャー昇格して28試合、5勝2敗、防御率4.84の成績を残している196センチ、106キロの体格からややサイド気味に投げてくる変則の中継ぎ右腕。今季はメジャー登板はなくメッツ傘下の3Aシラキュースで21試合に登板して防御率3.42の数字をマークしていた。
 阪神公式サイトを通じてハートウィグは「NPBでプレーする事に関しては良い情報ばかりでフィールド内外で日本の文化を体験できることに興奮しています。球場の雰囲気とタイガースファンの情熱は素晴らしく、私もその一員になれたことは大変光栄です。チームの勝利と優勝に向けて自分の出来る限りのパフォーマンスで貢献したいと思います」とメッセージを伝えた。
 阪神の救援防御率は脅威の1.69。及川、石井、岩崎の3人が勝ちパターンで、そこに湯浅、桐敷らがスタンバイしており、ブルペンになんら不安はない。それでもさらに中継ぎ右腕を強化した狙いは何なのか。
 阪神OBで現役時代には先発、抑えの両方で活躍した評論家の池田親興氏は、こう分析した。
「今回の補強には優勝にかける阪神フロントの本気度を感じるね。ここまで強い理由のひとつがブルペンの充実にある。左は及川、桐敷、岩貞、岩崎に中継ぎで使っている門別らがしっかり揃っているが、右は、石井、湯浅、ネルソンの3枚で、木下らが出てきているが、まだ経験不足で足りないと言えば足りない。特に石井、湯浅の登板数が多いので、ここから先の夏場、勝負の9月の時期に疲弊することが懸念される。絶対的なセットアッパーである石井の負担を軽減させるためにも、右の中継ぎは補強ポイントではあった。そもそも新外国人のハートウィグが使えるびか、使えないのかという問題はあるが、守り勝つというチームコンセプトを示す優勝を意識した補強と評価できる」
 ここまで及川が38試合、石井が32試合、岩崎が35試合に登板しており、連投もある。今後、中継ぎ陣が疲弊してくる可能性を危惧しての「転ばぬ先の杖」的な戦力補強だ。藤川監督はブルペンを「うちの心臓」と表現しており、さらに「分散」という言葉を使って、負担を軽減させる起用を心掛けていることを明かしているが、優勝に必要な最後のワンピースが中継ぎ右腕だったのだろう。
 阪神の外国人投手は、先発で6勝3敗、防御率1.42で奪三振でリーグトップの結果を出しているデュプランティエ、中継ぎではネルソン、ファームには、昨季はダブルストッパーの一人だったゲラがいて、先発とロングリリーフの両方ができるビーズリーもいる。池田氏は、「ゲラの再生は難しくビーズリーには中継ぎ適性はないと判断したのかも」と分析した。

 

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