
「なぜか外傷を負う不思議なパンチ」超異例の3戦連続で世界戦に挑む比嘉大吾が大記録を達成する可能性のこれだけの理由
勝てば、WBC世界フライ級王者だった2018年以来、7年3カ月ぶりの世界王座返り咲きとなり、日本人で初めてミニマム級の4団体すべてのベルトを手にした高山勝成が持つ5年11か月の国内最長ブランク記録を塗り替えることになる。
野木トレーナーが言う。
「おそらく今後全勝、全KOとかの世界王者は出てくるのでしょうが、この記録だけは空前絶後なものでしょう」
2018年にWBC世界同級王者の3度目の防衛戦で体重超過の失態を犯して、無期限出場停止処分を受けるなど、1年10か月のブランクを作ったこともあり、昨年、武居のベルトに挑戦するまで6年もかかった。
2014年にまだ高校生だった比嘉を宮古島で初めて見て以来コンビを組む野木トレーナーは、元WBA世界フライ級王者で、花形ジム会長の花形進氏に「世界チャンプを作るコツを教えて下さい」と教えを請うた際に、もらった言葉をずっと胸に刻んできた。
「続けさせることだよ。星野敬太郎もそれで世界王者になった。続けさせれば何かが起きる」
そして野木トレーナーは、師と仰ぐシドニー五輪女子マラソン金メダリストの高橋尚子を育てた故・小出義雄監督の金言を座右の銘としている。
「継続は宝なり」
それは2人の夢を叶えるためのキーワードでもある。
大記録を達成した先には次なるビッグファイトが待ち受けている。
休養王者の堤との統一戦が濃厚だが、5階級制覇王者のノニト・ドネア(フィリピン)が突如、2年ぶりの再起戦で即、暫定王座決定戦に抜擢され、9回負傷判定で勝利して3人の王者が乱立する異常事態となっている。
一部の海外メディアは、バルガスー比嘉の勝者が、まずドネアと対戦すると報じているところもあり、ビジネス最優先で暫定王座を乱発するWBAのことだからどんな展開が待ち受けるがわからない。ドネアは42歳。
比嘉は「凄いなあ。40何歳ですよね。自分じゃできない」と“レジェンド”のドネアに敬意を示しつつ本音は明かさなかった。
「ドネアさんも友達になってくれれば2人共やりたくない。WBAの社長が決めること。僕らは社員としてせっせと働きたい」
比嘉のボクシング人生を左右する決戦の舞台は7月30日、横浜BUNTAIだ。