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高見が衝撃の10回TKOで世界王座を奪取(写真・山口裕朗)
高見が衝撃の10回TKOで世界王座を奪取(写真・山口裕朗)

「大胆不敵。もっとやばいチャンピオンになる」衝撃の10回TKOでWBA王者となった“ニューヒーロー”高見享介の“未来”にRIZINファイター平本蓮が太鼓判

 プロボクシングのWBA世界ライトフライ級タイトルマッチが30日、横浜BUNTAIで行われ、挑戦者の高見享介(23、帝拳)が2階級制覇王者のエリック・ロサ(25、ドミニカ共和国)を10回2分48秒TKOで下してプロ10戦目で新王者に輝いた。高見の友人で総合格闘家としてRIZINで活躍中の平本蓮(27、剛毅會)は「生意気度はオレを超えている。スター性もやばい。もっとやばい奴(チャンピオン)になる」と、ボクシング界のニュースターになることに太鼓判を押した。

 「まだ実感はない」

 帝拳の“秘密兵器”の看板に偽りはなかった。
 10ラウンドだ。高見がここまで山のように叩き込んできた右のボディショットをみぞおち付近に決めると、王者は腰を折り、動きが止まる。苦し紛れのクリンチに逃げようとするが、そこに必殺の右を打ちおろした。ふらふらとよろけたロサは、コーナーに頭をぶつるようにしてダウン。立ち上がってきたが、もう戦闘意欲は失っていた。
 ここで高見は、残り時間が「30秒ちょっと」あることを確認して「逃げ切るのがうまい選手」と自分に言い聞かせた。プロ10戦目とは思えぬ冷静さだ。
 ステップを踏み高見がラッシュをかけると、パンチは当たっていなかったが、再びクリンチに逃れようとしたロサが腰をつかみそこねて崩れた。両手と片膝をつくと、レフェリーは戦闘不能と判断してTKOを宣言した。
「わかりやすいクリンチをしてきた。どうふりほどこうかと思っていたら、ああいう形でストップして自分的には驚いた。それが率直な感想」
 あっけないTKOシーンではあったが、高見はコーナーによじ登り、観客席にグローブを突き出して雄叫びをあげた。
「めちゃくちゃ嬉しい。やはり思っていた以上に(ロサは)気持ちが強くて、勝ちにきているんだな、チャンピオンだなと感じた試合でした」
 クレバーさが2階級制覇王者を制圧した。
 スタートはジャブから主導権を握ろうとしたが、落ち着いたロサに右フックを返されるなど、一進一退の様相。力みも見られた。だが、3ラウンドから距離を詰めてショートブローの戦術に切り替えた。小さいパンチを上下に休む間もなく打ち込む。まさに攻撃は最大の防御で、ロサの攻撃を封じ込んだ。
「体力も削りたい。パワー、手数で上回っていると感じたので近い距離で打ち合ってみようと思った」
 そして4ラウンドからは、残り10秒を知らせる拍子が鳴ると、そこからギアをチェンジ。コーナーにつめて明確に「倒す」という意図を込めた強打を打ち込むようになった。
「得意のパターン。練習の中でも、ラスト30秒から10秒でやっている。最後にいいイメージを作ってポイントを取るようにしたい」
 ミドル級の“レジェンド”ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)が、帝拳OBの村田諒太との2団体統一戦でも見せたが、ベテランのトップファイターが採用する戦術。末恐ろしい23歳である。
 5ラウンドには左フックをヒット。下がる王者に右手をグルグル回すパフォーマンスまで披露した。そしてKO予告をしていた6ラウンドを迎えた。
 ロサも意識していたのか。ガードを固めて逆に強引に前へ出てきた。高見はボディやアッパーで対抗したが、ジャッジの2人は、このラウンドはロサを支持した。
「予告ラウンドで倒せず判定でもいいと頭をよぎった」という。
 だが、7ラウンドに右のボディショット、右のストレートを叩き込むと、ロサが後ずさりし、苦しそうな表情を浮かべるようになる。もうフィニッシュは時間の問題だったのかもしれない。
「KO宣言した6ラウンドより早められるかなと思ったけど、そこからの粘りがすごくて。結果10ラウンドで仕留めることができてよかった」
 ジャッジの一人がここまでフルマークをつける圧勝だった。

 

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