
横浜DeNAのビシエドは中日時代の“致命的欠陥”を解消したのか…鮮烈の二塁打2本で“G倒”2位浮上に貢献して健在をアピール
横浜DeNAが緊急補強した元中日のダヤン・ビシエド(36)が2日、東京ドームでの巨人戦に「6番・一塁」で初めてスタメンに抜擢され、1回二死三塁でフォスター・グリフィン(30)から左中間にタイムリー二塁打、7回にはカイル・ケラー(32)から今度は右中間へ二塁打を放ち、チームの7-4勝利、2位浮上に貢献した。中日時代には、内角のストレートが打てないという致命的欠陥を解消できずに昨季限りで契約解除となり今季はメキシカンリーグでプレーしていた。
グリフィンのストレートを左中間へ
移籍初スタメンのビシエドが“天敵退治”に一役買った。
横浜DeNAが、今季1点も取れず、0勝3敗と苦手としていたグリフィンの立ち上がりに襲いかかる。二死三塁から、登録抹消された牧に代わって4番に入った宮崎のタイムリー内野安打で先制し、続く山本の右中間を破る三塁打で2点目を追加した直後だった。さらに二死三塁と続くチャンスにビシエドのバットが火を噴いた。
初球の真ん中高めに投じられた145キロのストレートを豪快に左中間へ運ぶ。ワンバウンドでフェンスに当たるタイムリー二塁打。ベース上で右手を突き上げた。
「1打席目のヒットは、このチームに勢いを付ける打点になったと思うのですごく良かったと思います」
ちなみに中日時代の昨年、ビシエドとグリフィンの対戦はなかったが、2年前は10打数3安打の打率.300で四球をひとつ選ぶなど相性は悪くない相手だった。
さらに7回だ。二死から今度は、3番手ケラーのカーブを捉えた。広角に打ち返した右中間への打球に佐々木がダイビングキャッチを試みたが、グラブが届かず二塁打となった。これは得点にはつながらなかったが、健在ぶりをアピールするには十分だった。本来であれば、5回に左翼ポールを直撃する2号2ランを放った猛打賞3打点の宮崎がヒーローにふさわしかったが、初安打初打点をマークした緊急補強のビシエドがヒーローインタビューに指名された。
「また日本に帰ってきて、こういう風にヒットを打ててチーム(の勝利)に貢献することができてすごく嬉しいです。ファンの皆さんの大きな声援が力となりました。これからも応援して欲しいと思います」
そしてインタビューの最後を「ありがとうございます」という流暢な日本語で締めくくった。
36歳。中日時代の昨年の開幕は2軍で迎え、1軍での出場は、わずか15試合に留まり、打率.209、1本塁打、2打点の数字しか残せずオフに“クビ”になった。
当時中日を率いていた立浪和義監督は「相手バッテリーはピンチでビシエドを迎えてもインコースにさえ投げることさえできれば打ち取れるんです。データに出ています」と、内角のストレートが打てないという致命的欠陥を指摘していた。
明らかに上体が突っ込むため、相手投手がコントロールミスでもしない限り、距離が作れず打球が詰まるのだ。それでもオースティンが戦線離脱し、右の強打者を求めていた横浜DeNAは、今季メキシカンリーグでプレーしていたビシエドを日本球界に復帰させることを決断した。
中日で9年間プレーしてFA権を取得したビシエドが日本人扱いとなること、そして、ゴールデングラブ賞を2度受賞するなど、一塁手としての守備力が高いことを評価。「総合的に活躍してくれると期待して」(チーム統括本部の萩原龍大本部長)緊急補強に動いた。