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元ヤクルト編成部長が選ぶドラフトで1位指名すべき8人の大学生投手
元ヤクルト編成部長が選ぶドラフトで1位指名すべき8人の大学生投手

ドラフト戦線異状あり…大学生投手がドラフト1位独占の可能性も…元ヤクルト編成部長がランキングした8人とは?

 プロ野球のドラフト会議(26日)が迫ってきた。来季のペナントレースの行方だけではなく数年後のチームの趨勢を占う重要なイベントだ。今ドラフトでは即戦力の大学生投手が豊富なのが特徴。元ヤクルト編成部長で故・野村克也氏の右腕としても知られる松井優典氏に独自情報と視点で有力候補をランキングしてもらった。

 ナンバーワン評価は青学大の常廣

 

 2日後に迫ったドラフトは例年とは違う“異常事態”となっている。
 ヤクルトで編成部長を務め、阪神ではスカウトも経験、ノムさんの参謀としても長年ユニホームを着た松井氏は、こう全体の見解を語る。
「ひょっとすれば1位指名全員が大学生投手ということになるかもしれない。それほど即戦力の大学生が高いレベルで揃っている。こんな年は珍しい。有名どころはいないけれど大学になって成長した選手が多い。将来性を含めて考えても今回のレベルの大学生を押しのけて1位で指名するような高校生も見当たらない」
 その上であえて独自の情報と視点をもとに大学生をランキングしてもらった。松井氏は東都や東京6大学を神宮に見に行く機会もあり、直接見た投手もいるという。
 ナンバーワンに推すのは広島が1位指名を公表した青学大の右腕、常廣羽也斗だ。最速は155キロ。まだ体はできあがっていないが、フォークやスライダー、チェンジアップなどの変化球も操り、6月の全日本大学選手権では、明大戦で10奪三振の完封。大学侍ジャパンに選ばれ、日米大学野球では先発、救援とフル稼働した。
「球持ちがよくて柔らかい。ストレートは低めが伸びてくる球質で、決め球が低めなのがいい。同じ腕の振りで投げ込んでくるチェンジアップを使って緩急をつけられる。ストライクを取ることにも苦労しない。まだフィジカルに伸びる余地があり、将来性を兼ね備えている。体力が持つかどうかはわからないが1年目から2桁勝てる能力はある」
 第2グループは国学院大の武内夏暉、東洋大の細野晴希、桐蔭横浜大の古謝樹の左腕トリオだ。「それぞれ特長が違うので球団によって好みや評価が分かれるかもしれない」とした上で、松井氏が並べたのは武内、細野、古謝の順だ。
「細野は剛球タイプ。指にかかったボールはプロでも力で抑え込める。縦に割れるスライダーも1級品。ただ制球力はまだ不安定。武内は制球タイプ。柔らかく、どの球種でもストライクが取れる。置きにいくような投球が気になっていたが、球速も4年になって150キロ台が出るようになった。彼の持つ制球力にセンスを感じる。古謝は細野と武内を足して割ったようなタイプ。右打者へのクロスファイアーが素晴らしい。腕が隠れる投球フォームなので打者はスピードガン表示以上の体感を感じると思う」
 武内は2年秋の明治神宮大会の九州産大戦で8回二死まで完全試合を続けて注目を浴びた。最速153キロで4種類の変化球を駆使する。一時、伸び悩んだが、今秋は東都で中央大、東洋大戦で完封勝利し、防御率は0.70を誇る。細野はU18との壮行試合で最速158キロをマークした大型左腕。東洋大で18キロも球速が伸び、4年で1部昇格に貢献し、MVP、最優秀防御率、ベストナインなどタイトルを独占。日米大学野球では先発、救援と3試合に起用された。また古謝は最速153キロで大学侍ジャパンにも選出されている。
 松井氏が5番手にランクしたのが中央大の西舘勇陽だ。大谷翔平を生んだ花巻東出身で3度の甲子園を経験、全投球をクイックで投げる異色右腕。最速は155キロの救援タイプだが、この秋の日大戦では13奪三振で完封勝利している。
「パワー投手で、あのクイックは打者がタイミングを取りづらい。高校、大学生がプロに入って苦労するのがクイックへの対応で極端に球威が落ちる投手などもいるが、西舘は、すでにそれができているので本当の即戦力と言える。先発もできるが、セットアッパー、あるいはチームによってはストッパーとしてもすぐに使える。巨人の大勢のように1年目から結果を残す可能性がある」

 

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