
「石垣元気を除き3年生のドラフト候補より2年生BIG3の評価が上だ」元ヤクルト編成部長が甲子園8強対決に注目理由とは?山梨学院の菰田陽生、横浜の織田翔希、沖縄尚学の末吉良丞をA’評価
第107回全国高校野球選手権は今日19日、甲子園で準々決勝4試合を行う。元ヤクルトの編成部長で故・野村克也氏の参謀としてコーチを務めた松井優典氏が注目するのは山梨学院の超大型二刀流の菰田陽生、横浜の織田翔希、沖縄尚学の末吉良丞の“2年生BIG3”。「健大高崎の石垣元気を除けば現時点で3年生のドラフト候補より彼ら3人の評価が上だ」との見方をしている。
ナンバーワン評価は健大高崎の155キロ右腕
いよいよ注目の8強対決だ。8校中7校が夏の甲子園と春のセンバツ優勝校経験があるという強豪が揃った。一方でネット裏のスカウトは担当だけを残してそろそろ“店仕舞い”のタイミングである。しかし、ヤクルトの編成部長、阪神のスカウトとして、春、夏の甲子園に何度も通った松井氏は、今大会のドラフト候補をチェックする上で、この8強対決に注目している。
「今大会のドラフト候補は不作と言っていい。いわゆる特A、Aクラスの選手はほとんどいない。投手、野手を見渡しても、誰が3年で誰が2年かの見分けがつかないのだ。大会ナンバーワンは健大高崎の石垣元気。A評価だ。しかし、その次のA’の評価になると、現時点では3年生をすっとばして、2年生の菰田、織田、末吉のBIG3になる。彼らの評価が上だ」
松井氏は、今大会のナンバーワン評価を初戦で京都国際に敗れた健大高崎の石垣としたが、次のランクにくるのが、2年生の菰田、織田、末吉の3投手だというのだ。
石垣は、京都国際戦で7回から途中登板して2イニングを無失点に抑え、2007年夏の佐藤由規(仙台育英)、2013年夏の安楽智大(済美)に続く史上3人目の甲子園歴代最速タイ記録となる155キロを春のセンバツに続いてマークした。
「なんといっても魅力は、平均150キロ台とムラのないストレート。重くて角度がある。昨年のセンバツから夏、今年のセンバツ、今夏と成長。体がしっかりとできてきたことで打者に体が向かってラインを作れて打者の近くでリリースできるようになった。1位候補だろう。ただ予選を通じて長いイニングを投げていないのが気になる点。現段階では先発のイメージをつかみにくい」
松井氏はそう評価したが、その石垣に迫る勢いと成長を見せているのが2年生BIG3だ。
その中でもトップ評価は山梨学院の1m94、100Kgの怪物右腕である菰田。初戦の聖光学院戦で6回1/3を投げ2安打1失点、3回戦の岡山学芸館戦では5回2/3を投げ1安打無失点で、圧倒的な存在感を示した。最速は150キロをマーク。しかも、投げるだけではなく岡山学芸館戦では4打数3安打3打点。左中間を破り三塁まで激走する三塁打も放った。
松井氏は「1試合、1試合良くなっている。長身から繰り出すボールの角度、スピードに加えて指先にボールがかかり、叩くようにリリースする球離れにセンスを感じる。だからストレートを130キロから150キロまで投げ分けることができている。おそらく来年には155、156キロまで球速が上がってくると思う。もうひとつ素晴らしいのが大きい割に身のこなしがいいこと。三塁打を打った際の走っている姿のバランスがよく、スライディングに身体能力、運動神経の高さを感じた。まだバットのヘッドは走ってこないがパワーは文句無し。打つ方は時間はかかるだろうが、プロでも二刀流でやっていける可能性は十分にある。ノビシロも含めて来年のドラフトでは目玉になるだろう」と称賛。「ネクスト大谷翔平」の称号に偽りがないことに太鼓判を押した。
その山梨学院は、準々決勝の第1試合で昨夏の覇者の京都国際と対戦する。菰田の真価が問われることになるだろう。