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来春のWBCの日本国内放送はネットフリックスが独占配信
来春のWBCの日本国内放送はネットフリックスが独占配信

放映権料は50億円超えか?!なぜ来春WBCの地上波放映がなくなりネットフリックスの独占配信となったのか…「時代に乗り遅れた日本のビジネススタイル」SNSは「残念」「寂しい」の声で荒れる

 プロ野球界に衝撃が走った。米の大手映像配信会社「ネットフリックス」が来年3月に開催される第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の全47試合を日本国内で独占配信することを発表した。これにより地上波では見られない公算が強まり、1次ラウンド東京プールの主催者である読売新聞社が緊急声明で、ハイライト映像は地上波で見られることと「本社を通さずに直接日本国内の放送・配信権を付与した」との裏事情も明かした。今回の事態はなぜ起きたのか。

 既得権益にとらわれない企業が直接交渉

 WBCを楽しみにしているファンの間で衝撃が走った。
 ネットフリックスが日本国内で全試合を独占配信することを発表、事実上、地上波で見ることができなくなったのだ。まだ出場メンバーは明らかになっていないが、大谷翔平も4月の段階では出場に意欲的な発言を行っており、デーブ・ロバーツ監督も容認する姿勢を示した。また前大会決勝で侍ジャパンに敗れた米国は、王座奪回へ本腰を入れて米国代表の主将にヤンキースのアーロン・ジャッジがつき、最後のバッターとして三振をしたもののハイライトを彩ったエンゼルスのマイク・トラウトも続けての出場へ意欲を見せるなど、前大会以上の盛り上がりの気運が高まっている中、冷や水をかけられるような電撃発表となった。
 ネットフリックスが、WBCの配信時に、どんな料金体系を組むかは不明だが、従来のサブスクで視聴できるなら、料金プランは全部で 3つ。広告つきの手軽な月額890円、広告なしの1,590円、超高画質で視聴できる2290円プランとなっている。
 SNSやネットのコメント欄は「残念」「寂しい」という声で荒れた。
「老若男女、多くの国民が無料で手軽に視聴できてこその盛り上がりだろう」「野球の普及、という面から見ると痛い」「野球に関心にない人が見なくなる」などの指摘もあった。ヤフーの「みんなの意見」アンケートでは、27日午前5時の時点で「WBCの地上波放送がなくなったことについて、どう思いますか?」という問いに「非情に残念に思う」が76.4%で「特に気にしない」の12.1%、「良い変化だと思う」の9.3%を大きく上回った。
 1次ラウンド東京プール全10試合の主催者である読売新聞社は緊急声明を発表。「WBCIが当社を通さずに直接Netflixに対し、東京プールを含む全試合について、日本国内での放送・配信権を付与しました」と、頭越しの交渉がなされた裏事情を明かした上で「NHK及び民間放送各局は、報道目的での試合映像は放映できますので、テレビニュースでは従来どおり試合のハイライトをご覧いただけます」と伝えた。
 なぜこんな事態が起きたのか。
 某ライバル配信会社の幹部は、こんな見解を明かした。
「外資のネットフリックスは、既得権益など一切気にしないので、当たり前のように大元のWBCIイコールメジャーリーグと交渉したのでしょう。時代を象徴するようなディール。権利を売る側も、新たなマーケットの開拓、知名度、ブランド価値を上げるなどの目的がある場合は“10億円安くとも地上波で”という選択をする場合もある。全米の人気プロレス団体のWWEなどは、ビッグイベントだけは、ネトフリではなくESPNで放映したりもする。しかし今回は、利益追求のビジネスに徹したのでしょう。詳しい事情は知りませんが、独占を条件に50億円以上は配信料を支払ったのでは?」
 あくまでも業界内の推測の数字だが。2023年の前大会の放映権料が30億円と推測されているので、倍額近くに吊り上がった可能性がある。
 NTTドコモのLeminoや、ABEMAがプロボクシングのライブ配信に参戦した際には、まず無料配信で新たな視聴者を呼び込み、有料会員に誘導するという、マーケティング手法が使われたが「すでに知名度のあるネットフリックスにはその必要はなく、今回は、直接的に視聴者を増やすというビジネスライクな選択をしたのでしょう。ネットフリックスは、過去にも、一瞬、一瞬で、視聴者契約を稼げそうなユニークなチョイスをしています」と前出の配信会社幹部は言う。

 

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