
「9番手なんか大したことはないが今の僕にとっては特別なこと」角田裕毅が8戦ぶり入賞に感激も”ライバル”ハジャーが3位表彰台…英メディアは「来季のシートは間違いなくハジャー」
F1の今季第15戦、オランダGPの決勝が31日に同国北部のザントフォールト・サーキットで行われ、レッドブルの角田裕毅(25)が今季最高位に並ぶ9番手に入賞した。12番グリッドでスタートした角田は、一時は15番手まで後退しながら粘り強く番手を上げて10番手でフィニッシュした後に他車のタイム加算ペナルティでひとつ順位が繰り上がった。8戦ぶりのポイント獲得に「普段は9番手は大したことはないけど今の僕にとっては本当に特別なこと」と喜びを隠さなかった。だが、来季のレッドブルのシートを巡る最大のライバルであるレーシングブルズの新人アイザック・ハジャー(20、フランス)が3位に入り、英専門メディアは、ハジャーの昇格に太鼓判を押した。

雨を予想したタイヤ交換戦略には失敗するも
思わず本音が漏れた。
10番手でオランダGP決勝のチェッカーフラッグを受けた角田は、メルセデスのキミ・アントネッリ(19、イタリア)が10秒のタイムペナルティを科された関係で、レッドブル昇格後、今季最高位だった第4戦のバーレーンGPに並ぶ9番手へ繰り上がった。
F1公式サイトのフラッシュインタビューの中で、角田は「正直に言えば……」と切り出し、10番手に入った5月のエミリア・ロマーニャGP以来、8戦ぶりとなる入賞とポイント獲得への思いをこう語った。
「普段は9番手なんて大したことはないけど、7戦も続けて厳しい結果に終わっていた状況を考えれば、今の僕にとっては本当に特別なこと。今後の自信に繋がる」
前日の公式予選では2回目(Q2)で敗退。12番グリッドでスタートした決勝で他車の大半がミディアムタイヤを装着した状況で、角田とマックス・フェルスタッペン(27、オランダ)のレッドブル勢はソフトタイヤを装着。早い段階での降雨を予想したレッドブル陣営の戦略はしかし、完全に裏目に出てしまった。
実際には小雨に終わった状況下で路面への影響はほとんどなく、ソフトタイヤを消耗させてしまった角田は20周目でピットイン。ハードタイヤに交換した直後にフェラーリのルイス・ハミルトン(40、英国)がクラッシュし、セーフティカーが出た影響で角田は15番手まで順位を下げてしまった。
それでも粘り強い走りで、角田は徐々に順位を上げていく。しかし、フェラーリのシャルル・ルクレール(27、モナコ)のクラッシュで再びセーフティカーが出動した53周目以降に、今度はマシンのスロットル周辺のトラブルに見舞われる。担当レースエンジニアのリチャード・ウッド氏に対して、角田は無線でこう伝えている。
「アクセルペダルを踏んだまま戻らない。スタックしている」
陣営の冷静なフォローもあってトラブルを乗り越えた角田は、3度目のセーフティカー出動が解除された後の70周目に、10番手だったアルピーヌのピエール・ガスリー(29、フランス)をオーバーテイク。10番手でチェッカーフラッグを受け、アントネッリの降着がすでに決まっていたなかで9番手に繰り上がった。
ガスリーをオーバーテイクした際の接触が審議対象になり、その後に一転してお咎めなしになるなど、波瀾万丈に富んだ72周の決勝を角田はこう振り返った。
「すべてが自分にとって不利に働いた気がする。最初のセーフティカーはまったく僕の助けにならなかったし、2度目のセーフティカーが僕のマシンよりも速い時間帯もあった。その意味でも、マシンのダメージを最小限に抑えてくれたチームの多大なサポートには、明らかに状況を変えてくれた点で本当に感謝している」