
なぜ井上尚弥は最強挑戦者の発言を「的を外している」と批判し、大橋会長は「結末が見えた」とV予告したのか…「強引なボクシングをする気はない」が勝利へのカギ
「自分の中のテーマとしてどんな勝ち方でも必ず勝ちを手にすると言う気持ちで、KOにこだわらず、しっかりと勝つことだけを目的として試合を進めていきたい。流れ的にどうなるかわからないが、すべてを名古屋で見届けて欲しい」
だがそれは消極的なボクシングをするという意味ではない。
「守るという気持ちはどの試合にもない」
公開練習は、シャドーとミット打ちを1ラウンドずつ。ジャブから始まり、ジャブ&ワンツー、ジャブ&ワンツーからフックのコンビネーションブローに、角度と強弱を変えた左のダブルアッパーまで披露した。
アフマダリエフ陣営は、急に抜き打ちのドーピング検査が入った影響で、マキシム・ミハイロマネージャー、アントニオ・ジョエルトレーナーが間に合わず、一部スタッフだけがギリギリに到着してカメラで映像を撮影していた。敵陣営は”生モンスター”を見てショックを受けないでよかったのかもしれない、それほど迫力とキレがあった。
大橋会長は「いつもあんな感じ。変わっていない」と言うが、右のガードは意識的に堅かった。5月の米ラスベガスの前戦で2回にラモン・カルデナス(米国)の左フックを浴びてダウンした教訓が生かされているように感じた。
「聞き飽きたかもしれないが過去一」
井上のコンディションの自己評価に誇張はない。
今回は大橋会長が特別な体制を準備した。
タパレスをメインのスパーリングパートナーとして呼び、13年ぶりとなる出稽古を敢行して、帝拳ジムを訪れてWBOアジアパシフィック・フェザー級王者で、WBO同級4位の藤田健児、日本バンタム級王者でWBA世界同級4位の増田陸と拳を交えた。またWBOアジアパシフィックスーパーバンタム級王者でWBA同級8位の村田昴、OPBF東洋太平洋フェザー級王者でWBC世界同級5位の中野幹士らともスパーリングを行ってきた。今週予定している中野との最終スパーを終えた時点で計120ラウンドに達するという。
「パートナー、内容も含めてトータル的に凄くいい内容でここまで充実した練習ができた。意味のある選手選びをしてきた。それぞれしっかりとアフマダリエフにあてはまる選手とやってきた。選手それぞれに突出していいところがあり、そこに劣らないようにポイントを見ながら戦い、ひとつひとつクリアできた。これまでのスパーとは違う」
練習はウソをつかない。
13年ぶりの出稽古では「初心に戻り新たな気持ちで臨めた」という。
「フルトン、ネリ戦の時同等、それ以上の集中力を高めている」