
「このままずっとマジックが3とか2の状態でいかないかな」阪神の藤川監督は複雑心境を明かすも最短Vは7日…1990年巨人の9月8日を抜き史上最速Vを果たせるか?
阪神が5日、甲子園での広島戦に6-1で快勝して優勝マジックを「3」に減らした。1回に大山悠輔(30)の満塁弾などの打者一巡の猛攻で6点を奪い、そのまま逃げ切った。藤川球児監督(45)は「このままずっとマジックが3とか2の状態でいかないかな」と“王手”をかけた幸せの時間を堪能していたいとの心境を明かしたが、ファンの注目は、1990年に巨人が作った9月8日の史上最速Vの記録を抜けるかどうか。最短Vは7日だ。
大山が1回に甲子園初のグランドスラム
「産みの苦しみ」などという言葉とは無縁。虎の勢いが止まらない。
1回に先発の大竹が自らの暴投のミスで1点を失うが、その裏に阪神打線が爆発した。近本が四球を選び、中野が左中間への二塁打で無死二、三塁とすると、まず森下がレフト前へ同点タイムリー。佐藤が四球を選び満塁にすると、なんと大山が森が、初球に投じたチェンジアップを強引に引っ張ってグランドスラム。2020年9月18日中日戦以来となるキャリア3本目の満塁弾で、甲子園では初だ。
「どんな形でも打点を挙げることを1番意識していた。自分のスイングというか、思い切っていくだけだと思った。後ろには頼もしいバッターも控えている。久々にああいう打球を打てた。ああいう1本をもっともっと増やしていけるように頑張っていきたい」
大山の一発で、広島を意気消沈させたが、さらに8月12日以来のスタメン抜擢となった木浪の三塁線を破る二塁打でチャンスを作り直して、投手の大竹にまで三遊間を破るタイムリーが飛び出し、もう勝負あり。
2回以降大竹も立ち直り、7回からは、藤川監督が「非常に心強い安定板のような役割をしてくれている」と絶賛したドリス、そして現役ドラフトで巨人から移籍してきた初登板の畠、石黒と”ゼロリレー”でつなぎ、カープ打線に反撃を許さず、ついにマジックは「3」となった。
残り全勝で阪神が全敗した場合に勝率で阪神を上回るマジック対象チームが巨人、横浜DeNAの2チームで、巨人は0-1で中日に敗れたが、横浜DeNAがヤクルトに7-6で競り勝ったため、それ以上マジックは減らなかった。
阪神ファンが願っているのは史上最速Vの達成だ。
これまでの最速V記録は1990年に巨人が達成した9月8日。再登板した就任2年目の藤田元司監督が指揮を執った巨人は、2位の広島に最終的に22ゲーム差をつける独走で、優勝を決めたのは、東京ドームでのヤクルト戦だった。
巨人が宮本和知、ヤクルトが川崎憲次郎の両先発の投手戦となり、試合は2ー2のまま延長10回に突入し、一死から吉村禎章が劇的なサヨナラ本塁打で優勝を決めた。当時は130試合制で114試合目での優勝だった。
その史上最速記録を抜く可能性が阪神にある。阪神が6、7日と連勝して、6日には単独のマジック対象チームとなった横浜DeNAが6、7日と連勝しない限り7日に阪神の優勝が決まるのだ。そうなると阪神は126試合目。ペナントレースの開始時期も違い、最速の定義が難しいが、シンプルに優勝決定の日付という意味で言えば、阪神が史上最速記録を達成できる。
ただ7日に優勝を逃すと、8日には試合がなく次戦は9日の横浜DeNA戦(甲子園)。ここで決めなければ史上最速Vの記録を達成できなくなるのだ。