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井上尚弥とアフマダリエフが公式会見でツーショット(写真・山口裕朗)
井上尚弥とアフマダリエフが公式会見でツーショット(写真・山口裕朗)

「頑丈で動かないが気持ちの強い選手じゃない」井上尚弥が迎え討つ最強挑戦者と日本でただ一人戦った元世界王者が語る”怖さ”と”弱点”…「やられるパターンは想像できない」

 そしてこう続けた。
「序盤から技術戦になると思う。井上選手は”判定決着でいい”と言っていますよね。井上選手が固いボクシングをやりはじめたら誰も手を出せないですよ。集中した時の実力発揮は半端ではない。ただムロジョンが攻撃と防御のスイッチを徹底したら、逃げ回るんで判定決着はありえるんじゃないですか。国を背負っているオリンピアンで世界チャンプ。倒されたくないと思い、あまりリスキーなことをやってこない可能性がある。もちろん井上選手がKOで終わらせる可能性もありますが」
 実は岩佐氏は今から10年以上前に井上がスーパーフライ級時代にサウスポー対策として1、2度スパーリングをやった経験がある。マウスピースを忘れ、バレたらせっかくのスパーが中止になるとも考え、試合前でもなかったため距離を取ったボクシングに終始し「僕もがんがんいかないし、おそらく井上選手はやりにくかったと思う。でも、何をやっても返される。こっちは何も届かない。これは凄い、ポイントのとれないボクサーだなと思った」という。
 両者を知る岩佐氏だからこそ判定勝利予想には説得力がある。
 では万が一のケースはないのか?
「井上選手の判定負けは絶対にないけれど、あえて言うなら、大振りの後の打ち終わりに一発を浴びるケースかな。そこは井上選手次第。ただネリ戦やカルデナス戦の時のような序盤の立ち上がりにそういう機会はないだろうし、あるとすれば中盤、後半のちょっと集中力が途切れたときでしょうね。でも井上選手にストレートは当たらない。やられるならフック。だけどいかんせんムロジョンは手が短いのでパンチが見え辛くはない。井上選手は見切りますよ」
 井上はルイス・ネリ(メキシコ)戦、ラモン・カルデナス(米国)戦と2度ダウンを喫した。アフマダリエフ陣営にはそのカルデナスを指導している名トレーナーのジョエル・ディアス氏がついていて実弟のアントニオ・ディアス氏が専属トレーナー。岩佐氏が対戦した時もアントニオ・ディアス氏がメイントレーナーだった。
「2試合共にダウンは打ち終わりにもらったフックですよね。倒そうと雑になったんですよ。今回は集中する。隙があったことを確実に学習している。それがなくなれば当たりませんよ。でもムロジョンは狙ってくるでしょうね。井上選手の意識と集中力が勝つか、ムロジョンの狙いが勝つか。井上選手次第じゃないですか」。
 さらに詳しく各論を聞いていく。
 アフマダリエフの長所と短所はどこなのか。
 岩佐氏はファーストコンタクトで衝撃を受けたという。
「ジャブを打っても頑丈でごつくて動かない。ガチガチと前へ来るんですよ。とにかく頑丈だった。僕とやった4年前に比べてさらにプレスもパワーもパンチ力も上がっている。ただどうにもなんない、という相手ではなかった」
 ガードも堅かった。
「ガードは高くて堅い。この時期に世界で活躍していたアマエリートはガードがしっかりしているんです。ポーンと顔が後ろに動くようなヒットを打たないとポイントが取れないルールだったのでそのアマの形がベースにある」
 パンチの質は「重くて堅い」という。
 岩佐氏はWBC世界バンタム級王者になる前の山中慎介とも日本タイトル戦で戦い10回TKO負けを喫している。

 

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