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「準備不足だったとしか言いようがない」世陸100mでサニブラウンも予選敗退…なぜ日本勢は“全滅”したのか…9秒台でバカ騒ぎしているようでは世界と戦えない

 東京2025世界陸上が13日、国立競技場で開幕、男子100mの予選が行われ、日本代表の3人はいずれも準決勝進出を果たすことができなかった。守祐陽(21、大東大)は10秒37で2組7着、7月の日本選手権を制した桐生祥秀(29、日本生命)は10秒28で3組5着、世界選手権2大会連続ファイナリストのサニブラウン・ハキーム(26、東レ)は10秒37で7組7位に終わり、各組3着以内とタイム上位3人に入れず予選敗退となった。

 守、桐生も惨敗

 国立のボルテージは最高潮に達するかと思われたが、日本にとって〝残酷な結果〟が待ち構えていた。男子100m予選の通過は各組3着+タイムの上位3人。まずは、日本人のいない1組で想像以上のタイムが飛び出した。追い風0.3mの条件ながら1着9秒87、2着9秒88、3着9秒93と着順での通過ラインが日本記録(9秒95)を上回ったのだ。4着も10秒00と超ハイレベルだった。
 この結果は「あまり気にしなかった」という守だが、初めての世界大会に飲みこまれた。
「平常心でいるつもりでしたが、いつも通りに走れませんでした」
 リアクションタイムは2組最下位の0.232秒と出遅れると、10秒37(+0.1)の7着に終わった。
「全体的に力がうまく入らなかったのもあるんですけど、加速でトップスピードに乗れなかった。本番で力を発揮する能力が足らなかったと思います……」
 続く3組には日本選手権王者の桐生が出場。前回王者のN.ライルズ(米国)の隣のレーンに入る。ライルズが9秒95(-1.1)で悠々とトップ通過した一方
で、桐生は10秒28の5着に沈んだ。

「ライルズ選手がいましたけど、リラックスして走れて、顔を上げてからもしっかり行けたかなと思います」と走りの感触はさほど悪くなかったようだ。しかし、順位とタイムがついてこなかった。
「トップの方じゃないなと思いましたけど、タイムを見て日本選手権(10秒23/+0.4)と同じ(ぐらい)かと思いました。国立競技場でしっかりタイムを出して走りたかった。もう1・2本走りたかったので、自分の不甲斐なさが出たのかなと思います」
 日本人ふたりの予選敗退が決まったなかで、最終7組にはサニブラウンが登場。しかし、過去2大会でファイナルに進出しているエースも精彩を欠いた。序盤で出遅れると、10秒37(±0)の7着でフィニッシュ。国立は大きなため息に包まれた。
 予選を終えたサニブラウンは、「本当にもったいないことをしたなと思います。ちゃんと前半からしっかり組み立てていかなきゃいけない場面で遅れを取ってしまい、中盤は動きが長くなり、後半失速してしまった」とレースを振り返った。
その言葉には「もっとできたはずなのに……」という悔しさがあふれていた。

 日本勢は3人とも予選で敗退。メダルを期待されたサニブラウン、決勝進出を目指していた桐生というキャリア十分な選手がいたことを考えると〝惨敗〟だったといえるだろう。その理由はどこにあるのだろうか。
 サニブラウンに関しては故障の影響が大きかった。2022年のオレゴン大会で日本人初の決勝進出を果たして7位、翌年のブダペスト大会は6位。昨年のパリ五輪は準決勝で9秒96(日本歴代2位)をマークしているが、今季は故障で出遅れた。
 5月のセイコーゴールデングランプリはハムストリングスに違和感を覚えて、スタート直前に棄権。その後はヨーロッパを転戦するも結果を出せず、6月下旬には右股関節上を骨挫傷した。その影響で7月上旬の日本選手権は予選で敗退して、今季ベストは10秒31という状態で本番を迎えることになった。

 

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