
井上尚弥がアフマダリエフ戦の舞台裏を激白…「誰が衰えているって?」発言の“本当の意味”とクロフォードvsカネロ戦から受けた啓示…フェザー級で通用するスタイルを示したにもかかわらず…
その意見を井上にぶつけた。
井上は「フェザーにいっても戦う自信はある」としたが同意はしなかった。
「まだスーパーバンタムで戦えるし、もうちょっと(このまま)いこうかなと。アレ?ここにいる記者さんは、ボクシングに詳しいですから、簡単に階級を上げろなんて思っていないですよね?(笑)。そんな簡単な世界じゃない。中谷(潤人)戦まではスーパーバンタム級でやります。そこからは陣営と相談しながら…」
米ラスベガスに乗り込んだカルデナス戦前には、その質問ばかりを米記者から投げかけられて「なんでそこにばかり興味を抱くのかなあ」とうんざりしていた。
元2階級制覇王者の八重樫東トレーナーも、アフマダリエフ戦の前日計量後のトークショーで「正直、体からいくとスーパーバンタム級がベスト。スキルがあるので倒しにいくボクシングをしなければ(フェザー級でもいけるが」と、井上の考えを支持していた。
だが、隣から大橋会長が「あの戦いでいけば、スーパーフェザー級はいけるよ」と口を挟んでニヤついた。
「前から言っているよね。昨日の試合が、まさにその試合。相手が強敵で強い者同士のテクニック合戦になると、ああいう芸術、アートな世界(のボクシング)になる。KOがわかりやすいが、それとは違うわかりやすさ」
スーパーフェザー級まで可能性が広がると関係者やファンの間でドリームマッチとして話題に上がるWBA世界ライト級王者、ガーボンタ“タンク”デービス(米国)との試合も本当のドリームではなくなるのかもしれない。
だが、そのフェザー級転級の論争の前に、12月27日のサウジアラビア「リヤドシーズン」でのWBC1位のアラン・ピカソ(メキシコ)戦、来年5月のGWに東京ドームで計画されているWBC&IBF世界バンタム級王者の中谷戦が待ち受けている。
この日は「またこれからピカソの映像を見ながら、しっかりと作戦を立てて、どういう戦い方をするか…」と思わず口を滑らせた。
ピカソは7月に亀田京之介(MR)とノンタイトル10回戦を戦い、一人がドローをつける2-0判定の“塩試合”で評価を落とした。再びアートなナオヤではなく、壊し屋のナオヤが見れそうだが、井上は「倒すのは流れの中で起こるもの。昨日の試合も頭に入れていたが、微妙にブレーキをかけて、いきすぎないことを考えた」と言葉を選んだ。
この考え方こそが、アフマダリエフ戦で、井上が、またひとつ大きなモンスターに進化した証拠だろう。もう自分を見失わない。
「誰が衰えたって?」
これこそがその言葉の真意である。