
14番手でなぜ?角田裕毅が「すべてがいい方向に向かっていると自信を持って言える」と豪語した理由とは?FP1でフェルスタッペン超えの6番手もFP2ではロングランに重点を置き“納得の撃沈”
ただ角田がショートランで見せる速さが決勝の順位にはつながっていない。
この状況にレッドブルのローラン・メキース代表(48、フランス)はこう見ていた。
「ショートランのペースに関しては、裕毅の公式予選から非常に良いサンプルを得られている。対照的にロングランにおいてはクリーンなサンプルがまだない状況にちょっとイライラさせられる。最近の数レースを振り返ってみても、ロングランのペースをもっと上げる必要があると言っても過言ではない」
アゼルバイジャンGPのFP1で角田は1分43秒738と6番手の好タイムを計測し、1分43秒790で7番手だったフェルスタッペンに0秒052差をつけて再び上回った。ショートランは問題はない。だからこそ、21日の決勝とほぼ同じ時間帯で行われるFP2で、課題のロングランに重点を置く戦略に打って出たのだ。
オランダのF1専門メディア『RacingNews365』は、角田のフラッシュインタビューを引用して、こう報じた。
「角田裕毅が『今なら理に叶っている』とレッドブルで躍進する手応えを見出した。今季で契約が満了する25歳の日本人ドライバーは、同時にレッドブルを退団する危機に直面していて、さらに来季のシートをレーシングブルズの新人アイザック・ハジャーに脅かされている。バクーで今季最高の結果を目指す角田は決勝へ向けて、燃料を多く積載したロングランで一歩前進できたとFP2後に示唆した」
さらにF1専門メディア『GP BLOG』も「角田が難解なレッドブルの今季のマシン、RB21を手なずけることにようやく成功した」と評価した。
「ロングランへの理解を深めるために臨んだバクーのFP2を14番手で終えた直後に、角田はそれでも『納得できる』と笑顔で語り、自身の課題とされてきたロングランの面で大きな前進を遂げたと手応えを深めている」
アルファタウリ(現レーシングブルズ)でF1に初めて参戦した2021年以降のアゼルバイジャンGPで、角田は3年連続でQ3進出を果たし、すべてで8番グリッドを獲得。2021年は7位、2023年には10位にそれぞれ入賞している。
昨季こそ他車と接触した末に14周目でリタイアしたが、1周6.003kmのバクー市街地コースとの相性は良い。さらにFP2で決勝へ向けて手応えを得た。
「このコースでは常にブレーキも含めたすべてで確かな自信が必要になる。もちろん明日の公式予選はショートランに集中する必要があるけど、今日のポジティブな収穫はロングランであり、すべてが良い方向に向かっていると自信を持って言える。この勢いを保ちながら、明日どのように走れるかが本当に楽しみだ」
チームのモータースポーツアドバイザーを務める重鎮ヘルムート・マルコ氏(82、オーストリア)は、角田の去就を決める時期を「9月か10月頃」としている。角田に残されたチャンスは最大で4戦。ギリギリの状況から巻き返しをはかるアゼルバイジャンGPの公式予選は、20日のフリー走行3回目(FP3)後の日本時間21時に開始される。