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リレー侍は6位惨敗。左から小池祐貴 、 栁田大輝 、桐生祥秀 、鵜澤飛羽 ( 写真:森田直樹/アフロスポーツ)
リレー侍は6位惨敗。左から小池祐貴 、 栁田大輝 、桐生祥秀 、鵜澤飛羽 ( 写真:森田直樹/アフロスポーツ)

もうバトン技術は通用しない?なぜ世陸の男子4×100mでリレー侍は6位に惨敗しメダルに届かなかったのか…足がつってブレーキとなった桐生祥秀だけではない「明確な理由」とは?

 世界陸上東京大会の最終日が21日、国立競技場で行われ、·大会の花形種目である男子4×100mリレーの決勝では、メダルが期待された日本の「リレー侍」が 38秒35で6位に終わりメダルには届かなかった。予選と同じく小池祐貴 (30、住友電工)、栁田大輝 (22、東洋大)、桐生祥秀 (29、日本生命)、鵜澤飛羽 (22、JAL)の布陣で挑んだが、足にけいれんを起こした桐生がブレーキとなり上位へ進出できなかった。なお優勝は豪華メンバーを揃えたアメリカで、2位カナダ、3位オランダだった。なぜ「リレー侍」は結果を残せなかったのか。

 桐生が号泣

 20時頃から降り出した雨に足元をすくわれたのか。それとも何か別の理由があったのか。東京世界陸上のトラック最終種目、男子4×100mリレーは「メダル」を目標に掲げていた日本は6位に終わった。
 前日の予選2組は小池、栁田、桐生、鵜澤のオーダーで出場。ガーナ、オランダに次ぐ38秒07の3着で決勝進出を決めていた。
 なお予選では男子100mでワン・ツーを飾ったジャマイカとパリ五輪3位の英国が自滅。同2位の南アフリカも途中棄権となった(※救済措置で再レースに臨むも決勝に進めなかった)。強力なライバルが消えたなかで、日本のタイムは全体5番目だった。
 予選は〝安全バトン〟で臨んだ日本。そのなかで1・2走は「事故レベルで詰まりましたね」と小池が話すほどのミスもあった。決勝は予選と同じオーダーで出場することになり、今度は〝攻めのバトン〟を敢行する。1・2走は1.5足長、2・3走は0.5足長、次走者のスタート位置を早めたのだ。

「ウォーミングアップ時のバトンを皆さんに見ていただきたかったぐらい。これを本番でやろう、と言うところまで仕上がっていました。予選からの修正で、タイムとしては0.4秒は(短縮して)いけるかなと選手と共有していたんです」
 短距離担当の信岡沙希重コーチがこう話すほどチームの状態は上々だった。
 決勝は1・2走のバトンパスが少し詰まったが、「全体的に昨日よりは流れたかな」と信岡コーチ。しかし、先行する米国、カナダに徐々に引き離されていく。
 4走にバトンが渡ったのは最後だった。アンカー鵜澤が追い上げたものの、38秒35の6位でレースを終えた。
 3大会ぶりのメダルを逃した日本。今回、明らかに精彩を欠いていたのが過去に何度もリレーで快走を演じてきた桐生だ。3走のスペシャリストに何があったのか。
「走り出した瞬間に右ふくらはぎをつってしまった。タイムも一番遅かったですし、僕がちゃんと走っていれば、メダルにいけたと思うので、今回は本当に僕の責任です……」
 桐生は涙を浮かべて、言葉を振り絞った。コーナーを駆け抜けることと雨のレースになったことでスパイクを今季、主に使用してきた厚底から薄底に変更したことも打ち明け、「その影響もあったのかなと思います」とけいれんの原因についても語った。
 なお各100mのスプリットタイムは以下の通りだ。
 米国  10.30-8.84-9.31-8.84【37.29】
 カナダ 10.41-8.75-9.42-8.97【37.55】 
 オランダ10.57-8.76-9.69-8.79【37.81】 
 ガーナ 10.55-8.96-9.48-8.94【37.93】 
 ドイツ 10.59-9.23-9.38-9.09【38.29】 
 日本  10.55-9.14-9.71-8.95【38.35】
 フランス10.48-9.07-9.64-9.39【38.58】
 豪州   10.57-9.21-9.52-DNF【DNF】

 

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