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開幕したオレゴン世界陸上で日本の“エース”サニブラウン(左から2人目)が男子100mで9秒98を叩き出して準決勝進出を決めた(写真・ロイター/アフロ)
開幕したオレゴン世界陸上で日本の“エース”サニブラウン(左から2人目)が男子100mで9秒98を叩き出して準決勝進出を決めた(写真・ロイター/アフロ)

なぜサニブラウンはオレゴン世陸の男子100m予選で9秒98を出せたのか…今日準決勝、決勝…日本陸上界悲願のメダル可能性は?

 

世界陸上が15日(日本時間16日)に米国オレゴン州ユージンで開幕。初日に行われた男子100mの予選で日本勢は東京五輪の〝悪夢〟を振り払う激走を見せ、前日本記録保持者のサニブラウン・アブデル・ハキーム(23、タンブルウィードTC)が自身3度目の9秒台となる9秒98(-0.3m)で1着通過し準決勝進出を決めた。また4組の坂井隆一郎(24、大阪ガス)が抜群のスタートダッシュで飛び出すと10秒12(+0.2m)の3着で予選ラウンドを通過した。サニブラウンの9秒台の背景と、今日行われる準決勝、決勝でのメダルの可能性を検証した。

自己ベストのリアクションタイムのスタートに成功

 課題にしていたスタートがドンピシャで決まると、その後の走りは自信に満ちていた。前半からトップ争いを演じて、後半は先頭を駆け抜ける。9秒77のアフリカ記録を持つファーディナンド・オムルワ(ケニア)らを抑えて、9秒98でトップでゴールした。

「しっかりスタートで出られたので、中盤までしっかり作って、後半はリズムを感じながらスーッと抜けられたのでとても良かったかな。明日につなげられる良いレースだったんじゃないかなと思います」

 レース直後のインタビューにサニブラウンは笑顔で応えた。9秒98は自己ベストに0.01秒差と迫るセカンド記録。キャリア3度目の9秒台は、日本人として初めて向かい風での到達になった。

 以前から「タイムは出るときには出る」と考えているサニブラウンだが、今回はなぜ9秒台が出たのか。それはスタートに成功した部分が大きい。

 6月中旬の日本選手権は準決勝でシーズンベスト(当時)となる10秒04(+0.8m)、決勝は10秒08(+1.1m)だった。スタートのリアクションタイムは予選が0.162秒、準決勝が0.159秒、決勝が0.157秒。本人も「ちょっと反応が遅すぎる」と漏らしていたほどで、決勝メンバーのなかでは最も遅かった。

 それが今回のリアクションタイムは0.112秒。そのことを知らされると「オーッ。自己ベスト更新です」とサニブラウンは笑みを浮かべた。予選出場56人中7番目タイという好反応で、日本選手権の予選と比べて0.050秒も短縮したことになる。

 スタート時の「0.050秒」というタイム差は非常に大きい。単純にタイムが0.050短縮(10秒04なら9秒99になる)するだけでなく、メンタル的にも影響するからだ。スタートで出遅れると焦りが生まれ、動きが硬くなってしまうことは少なくない。逆に好スタートを切ることで、ライバルたちにプレッシャーをかけることができるのだ。

 サニブラウンにとってスタートは長年の課題であり、世界陸上の〝壁〟でもある。100m準決勝の戦いを振り返ると、2017年ロンドン大会はスタート直後にバランスを崩して、大きく出遅れた。2019年ドーハ大会はスタート音がよく聞こえず、リアクションタイムが0.206秒という最悪の滑りだしになり、10秒15(-0.3m)の5着に沈んだ。2着の選手は10秒12。あくまで単純計算になるが、サニブラウンが0.170秒ほどのリアクションタイムで飛び出していれば2着に入り、決勝に進出していたことになる。

 

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