
“大谷ルール”に「他球団は憤りを抱く」「MLB機構は的を外している」と2つの不満…現状の特別扱いに不服の声が出る中でドジャース幹部はリリーフ登板後もDHで継続出場可能のルール改正を提案
ポストシーズンが近づく中でドジャースの大谷翔平(31)の二刀流起用に関する大谷ルールが問題になっている。USAトゥデイ紙のボブ・ナイチンゲール記者が、先発登板した試合で降板後にもDHで継続出場できる現状の特別扱いのルールに「他球団が憤りを抱いている」と報じると、ドジャースのアンドリュー・フリードマン編成本部長は、DHで先発出場して、リリーフ登板した場合、降板後はDHに戻れない現状のルールに「的を外している」との不満をぶつけた。果たして大谷が特別がゆえに噴出した問題に対してMLB機構は動くのか。
ポストシーズンでリリーフ起用の可能性が
いまさら?の「大谷ルール」への不満が他球団から出てきていることを敏腕記者で知られるナイチンゲール氏がUSAトゥデイ紙で伝えた。
「(他球団の)チーム関係者たちはドジャースの大谷が二刀流選手として特別に認められているため、他球団よりも投手を1人多くロースターに入れられることに憤りを抱いている。大谷は先発投手として登板する場合、マウンドを降りてもDH(指名打者)として試合に残ることができる」
大谷が先発登板し、降板後にDHとして試合に継続出場できる特別ルールは、エンゼルス時代の2021年のオールスターゲームで初めて採用され、2022年からはメジャーの公式戦でも適用された。だが、現状、二刀流選手は、大谷以外に出現していないため、このルールを使っているのは大谷だけ。それは大谷が特異な才能を持っているがゆえで、エンゼルス時代はそのルールへの不満は一切漏れてこなかったが、ドジャースという強豪チームと10年総額7億ドル(当時のレートで約1015億円)で契約して、いきなり初年度に世界一となり、今季もポストシーズン進出を決めるなど大活躍を見せている中で、他球団からの恨み節が漏れ出したようだ。
一方でこの大谷ルールは万能ではない。
ナイチンゲール記者は、ポストシーズンでの大谷のリリーフ起用説が流れる中で、リリーフには大谷ルールが適用されないことをこう紹介した。
「もし最初にDHとしてスタメンに入り、その後リリーフ登板した場合、大谷が降板した時点で、ドジャースはDHを失うことになる。大谷が試合に残れる唯一の方法は降板後に外野に回ることだが、彼が外野を守ったのは2021年が最後だ。ポストシーズンで、大谷がDHと先発投手以外の役割を担う可能性は極めて低い」
だが、この現状のルールに不満を漏らしたのが、ドジャースのフリードマン編成本部長だ。
米専門サイト「ドジャースネーション」が伝えたもの。フリードマン編成本部長は、「彼ら(MLB機構)は的を外していると思う」と、大谷ルールがリリーフには適用されないことに不満を漏らした。
「このルール(現状の大谷ルール)は、二刀流起用を奨励し、インセンティブを与えるために設けられたと思う。だから(リリーフが適用外なのは)やはり的を外していると思う」
フリードマン編成本部長はそう訴えた。
そして具体的な球団の動きとして、「当然だが、シーズン中にそれを求めるのは現実的ではない」と、今回のポストシーズンを前にしてのルール変更を求めない姿勢を示した。
だが、「それはオフシーズン以降に検討されるべきことだ」と、今オフから来季にかけて球団としてMLB機構にルール改正を要求していく考えを明かした。