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メキシカンリーグ挑戦を発表した元楽天の安楽智大がパワハラ問題に言及した発言にSNSやネット上で非難が殺到(写真・黒田史夫)
メキシカンリーグ挑戦を発表した元楽天の安楽智大がパワハラ問題に言及した発言にSNSやネット上で非難が殺到(写真・黒田史夫)

「パワハラを受けた側の気持ちを理解していない言い訳だ」なぜメキシカンリーグ挑戦が決まった元楽天の安楽智大のコメントがSNSやネットで非難され“炎上”したのか?

 後輩選手へのパワハラ行為で楽天を自由契約となった安楽智大投手(27)が5日、メキシカンリーグのメキシコシティ・レッドデビルズと契約したことを発表した。安楽は再起へ向けてのコメントを代理人を通じて発表したが、“解雇”の原因となったパワハラ行為に対して「いじめようと思ってしたことは一度もなかった」「コミュニケーションのつもりでやった」などと言及。さらに一部の報道に対して「真実と異なる点がいくつもある」と綴ったことにSNSやネット上で「いじめる側の論理」「認識が甘い」「反省していない」などの厳しい非難が殺到して“炎上”する騒ぎとなった。安楽は厳しい声を背にメキシコの地で再出発する。

 典型的な加害者側の論理だ

 メキシカンリーグを再出発の地に選んだ安楽は、文書による報告を謝罪から始めた。
「昨年、私が同僚選手にした行為につきまして、当該選手、楽天球団、チームメイト、そして何よりも応援してくださった野球ファンのみなさまに多大なご迷惑をおかけしたこと、そして失望させてしまったことをこの場を借りてあらためてお詫び申し上げます」
 ここまでは問題がなかった。
 SNSやネット上で炎上騒ぎを呼んだのは、楽天を事実上の解雇となる原因となったパワハラ問題に対して初めて言及した以下の部分だ。
「私は、当該選手を含め後輩のことが大好きで、決して後輩選手をいじめようと思ってしたことは一度もありませんでした。私なりのコミュニケーションのつもりでやっていたことでしたが、受け取る側の気持ちを十分に考えられておらず、私の行動が誤っていたこと、私の認識が甘かったことを痛感しております」
 安楽からパワハラ被害にあった選手からの訴えが、契約更改などの席で球団に届くようになり、スポーツ各紙に報道されて明るみになったのが昨年11月下旬。球団は、安楽の契約更改を延期して、ただちに調査に入り、計137人にヒアリング、アンケートなどを行った結果、10人もの選手が、パワハラの被害を受け、報道の通り、ロッカールーム内で後輩選手の下半身を露出させた行為や、深夜の嫌がらせ電話、罰金徴収など、平手打ち以外のパワハラ行為がほぼ事実と認定された。
 安楽は12月1日に公示された保留者名簿から外され自由契約となった。事実上の解雇である。 
 被害を受けた後輩たちに深い心の傷を負わせ、自身が解雇となるほどの数々の“醜く酷い行為”を行ったのだが、当の本人は、ここにきて「後輩選手をいじめようと思ってしたことは一度もありませんでした」「私なりのコミュニケーションのつもりでやっていたことでした」と発言したのである。「認識が甘いと痛感した」のであれば、決して公式文書の中に出てこない言葉だろう。
 SNSやネット上に非難の声が殺到するのも無理はなかった。
「典型的ないじめる側、加害者側の理論だ」
「加害者にハラスメントの認識が欠けている典型例」
「いじめを受けた側の気持ちをまったく理解していない」
「この期に及んでまだ保身に走るのが認識の甘さ」
「あんなことをしてコミュニケーションのつもりだったのなら、そもそも人格に問題がある」
「解雇されて社会的制裁は受けたが、被害者の心に傷が残っている」
「余計なことを言わずにただ反省した姿勢を示すべきだった」
「中学生の頃に1年間くらいいじめられた経験がある私としては“コミュニケーションのつもり”は言い訳にしか思えませんね」
 SNSやネットのコメント欄には、会社で上司から受けていたパワハラ行為に心を痛めた体験談や、学生時代にいじめを受けた話などを例に出しながら、加害者と被害者の認識の違いを指摘する意見が多く見られた。安楽が「受け取る側の気持ちを十分に考えられておらず」との反省を語りながらも、人の体も心も傷つける行為を「いじめるつもりもなく、コミュニケーションのつもりでしていた」と、言い訳したことが「認識不足」「反省不足」を如実に示している、と受け取られたのである。
 99の不適切な行為を第三者委員会から認定されて辞職することになった岐阜県岐南町の小島英雄町長が「円滑なコミュニケーションをとるためのスキンシップのつもりだった」と言い訳したことに重ねる指摘もあった。

 

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