
それウソやん?レッズ名将は「大谷翔平と真っ向勝負」の発言守らず敬遠策も「予想していた」次打者ベッツは3本の二塁打を含む4安打3打点の大爆発…山本由伸を助ける守備の“神判断”も
ドジャースが1日(日本時間2日)、本拠地でのレッズとのワイルカードシリーズ第2戦に8-4で逆転勝利を収め、フィリーズとのディビジョンシリーズ進出を決めた。3本の二塁打を含む4安打3打点の大活躍したのは、「2番・遊撃」でスタメン出場したムーキー・ベッツ(32)だ。レッズのテリー・フランコーナ監督(66)は、試合前に大谷翔平(31)と真っ向勝負することを明言していたが、7回に“朝令暮改”で申告敬遠。だが、ベッツはそれを予想して準備していたという。6回無死満塁の大ピンチでは守備で得点を許さない“神判断”も見せた。
敬遠策が裏目
それはレッドソックス時代にワールドシリーズを2度制覇している名将ゆえの陽動作戦だったのか。
MLB公式サイトが伝えたフランコーナ監督の試合前会見。
米記者から前日の第1戦で先頭打者&追撃2ランの2発を放っていた大谷に対して申告敬遠で勝負を避ける可能性があるか?の質問が飛ぶと、「それは冗談か?」と笑みを浮かべ、「(次に)ムーキー・ベッツやフレディ・フリーマンがいるじゃないか」と言い、申告敬遠策を取らない考えを明かした。
「それ(申告敬遠)はものすごく悪い決断だ。確かに大谷は本当に危険な打者だ。しかし、今年も185三振してるんだ。そこを突かないといけない。あの打線で、四球などを与えたら、自分たちが危険にさらされるだけだ」
大谷との真っ向勝負を明言していたが、それはウソだった。
7回だ。一死二塁で大谷を迎えると、フランコーナ監督は申告敬遠を指示したのである。大谷は3-2で迎えた6回一死一、三塁の追加点機に4球ファウルで粘ってから、一、二塁間を破るタイムリーを放っていた。その勝負強さに恐れをなしたのかもしれない。
だが、続くベッツには大谷が申告敬遠されることの準備ができていた。映像メディア「ドジャーブルー」などが伝えた試合後会見で、ベッツは、米記者から「試合前にフランコーナ監督が『大谷を申告敬遠することはない。後ろにベッツとフリーマンがいるからだ』と発言していたのを知っていたか?」と聞かれ「ええ」と答えて、こう続けた。
「走者がいる場面でショウヘイに打順が回るなら、僕は敬遠されると予想していた。僕でもショウヘイとは勝負しない。それは理解できる。そうするならそれでかまわない。準備はできている。彼らが敬遠すれば、ショウヘイと対決することになる。どちらに転んでも我々に悪くない話だ」
ベッツは意地の三塁線を破るタイムリーツーベースを放った。
米サイト「トゥルーブルーLA」によると、統計サイトである「FanGraphs」のベン・クレメンス記者が今年5月に作った最新の得点期待値表(Run Expectancy Table)によると、一死二塁では、イニング残りの平均得点は0.67点で、一死一、二塁では0.96点とアップしている。つまり申告敬遠は、データ的にもプラスにはならない。
ロバーツ監督は、こういう相乗効果を生むために、大谷、ベッツ、フリーマンのMVPトリオを打順に3人並べ、これまで申告敬遠について「どの毒を選ぶかということだ」と表現していたという。
今季プレーオフを含めて大谷は申告敬遠を21回受けており、そのうち18回は、ベッツが次の打者だった。そしてベッツは16打数で3本の二塁打を含む6安打で打率.375、さらに2四球、8打点を記録している。やはり、フランコーナ監督の大谷敬遠→ベッツ勝負は間違いだった。
ベッツは「おそらくフィリーズもそうしてくるだろう。ポストシーズンで何度もそういう場面があると思う。だからそれを理解して準備をしている」との心構えを明かした。
この日のベッツは大暴れした。初回にツーベースを放つと、3回一死三塁でセンターへタイムリーヒット、6回には大谷に続く、ここでも三塁線を破るタイムリーツーベースをマークしている。
そしてベッツの活躍は、バットだけではなかった。
3-2で迎えた6回無死満塁の大ピンチに神技と言っていい好判断のファインプレーを見せたのだ。この回、先発の山本は、1番打者から不運な3連打を浴びた。無死満塁で4番のオースティン・ヘイズを迎えて、内野は後ろへ下がり併殺狙いの守備隊形をとった。同点やむなしというベンチの判断だったのだろう。