
「最悪だ。溺れそうだ」「このクソみたいな装置」角田裕毅がシンガポールGP予選“最下位”15番手のQ2敗退の遠因となったマシン不具合に悪態をつき激怒
舞台を東南アジアに移したシンガポールGPで、絶対的エースのマックス・フェルスタッペン(27、オランダ)のマシンにはフロントウイングがアップデートされた新フロアが導入された。レッドブルのマシンRB21とダウンフォースが必要な市街地コースとの相性が極めて悪く、過去に優勝は、おろかポールポジションすら獲得していないマリーナベイ・ストリート・サーキットで勝たせるためのチーム戦略だった。
対照的に角田のマシンは従来のままだった。前々戦のイタリアGP、前戦のアゼルバイジャンGPと連続で優勝し、大逆転でのドライバーズ王者5連覇へ望みをつないだフェルスタッペンが優先される理由は理解できる。それでも、角田自身も目の前の一戦ごとに来季へ向けた自身の去就がかかる状況に置かれている。
一般的に市街地コースでは、周回を重ねるごとにグリップが増すとされている。前出のフラッシュインタビュー。聞き手から「スペック面でも遅れを取り、それがパフォーマンスにも影響していたのか」と質問が飛んだ。フェルスタッペンのマシンとの差が、周回を重ねてもグリップ不足が解消されなかった原因だったのか、という内容の問いに対して、角田は回答の中に過激な表現を含めている。
「違いは多少あるかもしれないけど、極端な差じゃない。でも、このクソみたいな装置の後で何かがわかるかもしれない。フロントウイングだけのアップグレードだから、それほどの助けになるとは思わないけど……まあ、様子を見てみよう」
思わず「クソみたいな」と口走った背景には、公式予選前に行われたフリー走行3回目(FP3)から角田を悩ませたシステムの故障も関係していた可能性がある。
レース中はドライバーも水分補給は欠かせない。そのためヘルメット内にはチューブが仕込まれていて、ステアリング裏にあるボタンを押せば各自が用意していたドリンクが自動的に流れ出てくる仕組みになっている。このドリンクシステムに異変が生じていたと、英国のF1専門メディア『GP BLOG』が伝えた。
「角田の苦境は公式予選でさらに悪化した。FP3から続くドリンクシステムの不具合をレッドブルが修正できていなかったためだ。角田は無線で『ドリンクシステムが最悪だ。溺れそうだ』と何度も訴えていた。公式予選後にも『水が止まらずに流れ出ていた。以前から続いていた問題で、改善策を試みたが無理だった』と語った」