
「こんな言い方はちょっと変だが日本のプレーに感銘を受けていた」歴史的敗北のブラジル代表は森保ジャパンをどう感じたのか…名将アンチェロッティは「負けを簡単には受け入れられない」
サッカー日本代表が14日、東京スタジアムで行われた国際親善試合でブラジル代表から3-2の逆転勝利をもぎ取った。前半に2点をリードされた日本は、後半7分にMF南野拓実(30、モナコ)、17分にMF中村敬斗(25、スタッド・ランス)、26分にはFW上田綺世(27、フェイエノールト)が怒濤の3連続ゴールをゲット。過去の対戦成績が11勝2分け、35得点に対して5失点と攻守両面で圧倒してきたサッカー王国の目に、歴史的な初勝利をあげて喜びを爆発させた森保ジャパンはどのように映ったのか。
「非常に強いチームだとの印象を受けた」
短い言葉からサッカー王国のプライドが伝わってきた。
日本がもぎ取った歴史的な初勝利の余韻が残る試合後の会見。1点を返された直後の後半12分に、エースのFWビニシウス・ジュニオール(25、レアル・マドリード)を含めて一挙3人を交代させたブラジルのカルロ・アンチェロッティ監督(66、イタリア)へ日本のメディアからこんな質問が飛んだ。
「テストの意味を込めた交代だったと思うが、結果的にあれが響いたのではないか」
ユベントスやACミラン、チェルシー、バイエルン・ミュンヘン、そしてレアル・マドリードなどビッグクラブの指揮官を歴任。今年5月にはブラジル史上初の外国人監督に就任した名将は、次のように言い残して会見を終えた。
「私はそうは思っていません」
アンチェロッティ監督は5-0で圧勝した10日の韓国代表戦(ソウル)から、先発メンバーを8人も入れ替えてきた。初めて指揮を執った6月シリーズで23大会連続23度目のW杯出場を決めている指揮官はアジアへ遠征する10月シリーズから、来夏の北中米大会をにらんだ自分なりのチーム作りに着手していた。
たとえば前半26分に先制点を決めた右サイドバックのパウロ・エンリケ(29、バスコ・ダ・ガマ)は今回が代表初招集。しかも怪我人の代役として追加招集され、長年の夢をかなえた感激のあまり「すぐに妻へ電話して、2人で喜んだよ」と語った苦労人の初ゴールで波に乗ったブラジルは、6分後の同32分にも追加点を決めた。
韓国戦に続いて大勝してもおかしくない、と思われた試合展開。しかし、日本は森保一監督(57)のもとで、ハーフタイムに戦い方を変更した。ミドルブロックで対応していた前半から一転、連動したハイプレスを積極的に仕掛けていった。
MF堂安律(27、アイントラハト・フランクフルト)をして「殴り合いにいった」と言わしめた変化にブラジルは驚き、そして戸惑った。迎えた後半7分。自陣のペナルティーエリア内でボールを持ったDFファブリシオ・ブルーノ(29、クルゼイロ)に上田がまずプレスをかけ、南野が横方向へのパスコースを消した直後だった。
パスを出しかけた体勢でバランスを崩したブルーノは、南野へボールを渡すまさかのミスを犯してしまう。突然訪れたチャンスにも冷静さを失わなかった南野が、2017年11月の槙野智章氏以来となる対ブラジル戦でのゴールを決めた。
「あの場面では、自分の右足がボールの上で留まってしまった」
味方を浮き足立たせ、日本を勢いに乗せた痛恨のミス。今にも泣き出しそうな表情を浮かべたブルーノは17分にも、右サイドからMF伊東純也(32、ヘンク)が上げたクロスに右足を合わせた中村のシュートをクリアミス。同点ゴールとしてしまった。
試合後には「起こってしまったミスを批判するのはどうか止めてほしい」とサポーターへ訴えたブルーノは、日本に対して畏敬の念を抱いていたと明かした。