「キャリアの中でも最悪の週末。何もかもうまくいかなかった」角田裕毅が痛恨の20秒ペナルティで“最下位”17位に沈む…陣営のミスがあったとはいえ来季残留へアピールできず
角田は48周目に3度目のピットストップを行い、ようやくタイムペナルティを消化した。この間に16番手から、コース上を走っていた17台中で最下位となる17番手へ後退。51周目には全車中で最速ラップをマークしたが、もはや焼け石に水だった。前走していたストロールに大差をつけられる17位で決勝を終えた。
あくまでも仮定の話になるが、2度のタイムペナルティがなければ7位で入賞を果たしていた計算となる。11位に終わった前戦のメキシコGPでも、ピットストップ時のタイヤ交換で通常よりも10秒近くを要するクルーのミスが大きく響いていた。
陣営による初歩的かつ信じられないミスが、特に角田に対して相次ぐ異常事態。レッドブルのローラン・メキース代表(48、フランス)のコメントを、オランダのF1専門メディア『RacingNews365』が伝えた。
「明らかに私たちのミス。10秒が経過する前にクルーがマシンに触れてしまった」
前日の公式予選では角田に加えて絶対的エースのマックス・フェルスタッペン(28、オランダ)も1回目(Q1)で敗退。強豪チームの一角を成してきたレッドブルの所属ドライバーがそろってQ1で姿を消すのは、2006年10月の日本GP以来、実に19年ぶりの異常事態とあってF1界に大きな衝撃を与えた。
しかし、決勝ではピットレーンスタートを選択したフェルスタッペンが驚異的な追い上げを見せて3位でフィニッシュ。2014年7月のハンガリーGPで3位に入ったメルセデス(現・フェラーリ)のルイス・ハミルトン(40、英国)以来、F1史上でわずか8人目となるピットレーンスタートからの表彰台を実現させた。
4年連続でドライバーズ王者を獲得してきたフェルスタッペンに実力差を見せつけられただけではない。自身の去就を含めた来季陣容の発表が、今季最終戦のアブダビGP前に先送りされたというのにアピールに失敗し、逆に角田のライバルとなるドライバーたちが印象に強く残る結果を残した。
角田に代わってのレッドブル昇格が最有力視されている姉妹チーム・レーシングブルズの新人アイザック・ハジャー(21、フランス)は8位入賞。さらにハジャーが昇格した場合、角田が復帰を狙うレーシングブルズのシートを争うリアム・ローソン(23、ニュージーランド)も7位に入賞した。しかもローソンはタイヤ交換を、わずか一度に留める1ストップ作戦を選択。陣営との息をピッタリと合わせて、イチかバチかのギャンブルを成功させた。来季残留へ向けて存在感を示すどころか、マイナスにもなりかねない大惨敗に終わった角田に残されたレースはおそらくあと2戦。次戦ラスベガスGPは21日に開幕する。

