元広島の松山竜平と元ソフトバンクの又吉克樹の投打の最年長コンビがアピールしたかったものとは?
「野球人生を終えた時に戦力外通告が通過点だったと言えるように」40歳の元広島松山竜平と35歳の元ソフトバンク又吉克樹の最年長コンビがトライアウト挑戦で伝えたかったものとは?
「体が本当に元気だし、走れるし、まだまだ投げられる、レベルアップできると思っています。海外に行ってもいいと思って準備をしてきましたし、今回もそういう方たちが見に来るとも聞いていたので、しつこく現役にしがみついていきたいですね。今日もファンから『もう休め』じゃなくて『頑張れ』と言ってもらえたのが嬉しかった。まだまだできると思ってもらえていることの裏返しだと思っています」
マツダスタジアムのネット裏には、総勢114人のスカウトや球団関係者が陣取っていた。NPB全12球団から来場した29人に加えて、MLBの8球団の8人、韓国KBOリーグの8球団の20人も含まれていた。
トライアウトに関しては、形骸化していて一定の役割を終えた、などといった理由で、NPBの12球団が選手会と共催してきた形が昨季限りで廃止された。今季からは選手会が単独で主催し、スポンサーを獲得した上で継続されている。
もっともトライアウトを経てNPBの支配下選手に、という道はかなりの狭き門となる。昨季を振り返れば合格者はわずか3人で、しかも全員が育成契約だった。
それでも又吉が残した言葉は、参加した全選手の思いを代弁していた。
「僕自身は野球人生を終えたときに、戦力外通告が通過点だったと言えるように、トライアウトから何かがあると信じて準備していきたい」
松山や又吉をはじめとする選手たちはNPB以外の選択肢も視野に入れながら、トライアウトで見初められた場合に、数日以内に電話で届けられる吉報を待つ。
(文責・藤江直人/スポーツライター)

