高額チケット?興行過多?なぜ創設37年目して町田が初優勝した天皇杯決勝の国立競技場は「ガラガラ」だったのか?
サッカーの天皇杯決勝が22日に国立競技場で行われ、FC町田ゼルビアが3-1で連覇を狙ったヴィッセル神戸を破り、クラブ創設37年目で悲願の初タイトルを獲得した。後半11分までに3ゴールを奪取。神戸の反撃を1点に抑える快勝で、高校サッカーから異例の転身を遂げて3年目の黒田剛監督(55)を男泣きさせた頂上決戦の観客数は、Jリーグがスタートした1993シーズン以降で最少の3万1414人。3週間前のYBCルヴァンカップ決勝に6万2466人が駆けつけた国立競技場が、なぜ空席だらけと化したのか。
「収容人員6万7750人に対して3万1414人」
町田と神戸の頂上決戦が思わぬ形で注目を集めた。
前半6分に町田のパリ五輪代表のFW藤尾翔太(24)が頭で先制点をゲット。同32分にカタールW杯代表のFW相馬勇紀(28)がカウンターから追加点を決めれば、後半11分には再び藤尾が左足で豪快なミドルシュートを突き刺す。
クラブ創設37年目での悲願の初タイトル獲得へ、町田が一気呵成に近づいていった天皇杯決勝を巡って、SNS上でこんな言葉がトレンド入りしたからだ。
<国立ガラガラ>
無理もない。試合会場の国立競技場の収容人員6万7750人に対して、発表された公式入場者数は半数以下の3万1414人だった。メイン及びバックスタンドの3階席がガラガラで、2階席も空席が目立つ光景に衝撃を受けたサッカーファンが、次々とSNSへ投稿した結果が<国立ガラガラ>のトレンド入りだった。
コロナ禍で入場制限が設けられた2020シーズン大会を除いて、3万1414人の入場者数はJリーグがスタートした1993シーズン以降の決勝で最少となる。4万人を下回ったのも、2020シーズン以外では今回が4度目だった。
これまでの最少は、パナソニックスタジアム吹田で開催された2016シーズンの3万4166人だった。しかし、同スタジアムの収容人員は3万9694人。空席率を比較すれば今シーズンの数字は衝撃的だと言わざるを得ない。
しかも、同じ国立競技場で行われた2023シーズン決勝が6万2837人であり、昨シーズン決勝も5万6824人だった。W杯イヤー前年のタイミングで、激減した集客状況を深刻に受け止めるべきではないのか。見解を求められた問われた日本サッカー協会(JFA)の宮本恒靖会長(48)は、こんな言葉を残している。
「サッカー人気というところでは、そこまで深刻にはとらえていません。ただ、天皇杯の決勝が3万人ちょっと、というのはやはり寂しい数字だと思います」
なぜ入場者数が急激に落ち込んだのか。宮本会長が続ける。
「いろいろな要因があると思っています。11月に入って国立競技場での試合が多かったのもあるし、天皇杯においては準決勝と決勝の間隔も非常に短かったのもある。関西のチーム(神戸)と関東のチーム(町田)との対戦だった点を含めて、理由や背景をもう少し深掘りしていく必要があると思っています」
国立競技場でサッカーの試合が行われるのは、今月だけで実に5度目となる。しかし、サンフレッチェ広島が柏レイソルを破った1日のYBCルヴァンカップ決勝は6万2466人の大観衆が集った。満員にこそならなかったものの、18日の日本代表とボリビア代表の国際親善試合にも5万3508人が詰めかけている。

