「ユウキのチームプレーに感謝」予選10番手の角田裕毅が絶妙“トウ”を与えてフェルスタッペンのPP獲得を援護…盟友の逆転Vへ「自分の作戦を犠牲にしてでも出来る限りのことをしたい」
F1の今季最終戦アブダビGPのフリー走行3回目(FP3)&公式予選が6日、現地のヤス・マリーナ・サーキットで行われ、今季限りでレッドブルの正ドライバーから降格する角田裕毅(25)が、FP3での接触事故を乗り越えて公式予選3回目(Q3)に進出して10番手につけた。ポールポジションを獲得したマックス・フェルスタッペン(28)の空気抵抗を減らす涙ぐましいっ走りが絶賛された。フェルスタッペンにドライバー選手権の逆転優勝の可能性が生まれ、決勝に向けて角田は「自分の作戦を犠牲にしてでもできる限りのことをする」と約束した。
FP3で衝突され旧型フロアに交換するアクシデント
今季限りでレッドブルのセカンドドライバーの座から去る角田が涙ぐましいチームプレーをやってのけた。
Q3に進出した角田は、中古ソフトタイヤで先に出ると「マックスにトウを与えて!待って!ミラーを見て!」というチームの無線の指示に忠実に従った。
アタックには入らずにターン5の手前でスローダウン。新品ソフトタイヤで勝負に出た盟友のフェルスタッペンがストレート区間に入るタイミングに合わせて、絶妙な距離を保って前を走り、空気抵抗を減らす、F1用語で言う“トウ”を与えたのだ。角田のアシストを受けてフェルスタッペンは1分22秒295をマークして暫定トップに立った。
角田の最終アタックは、トラックリミットをオーバーする違反を犯してタイム無しとなり、10番手で終わったが、フェルスタッペンは今季8度目のポールポジションを獲得。盟友にドライバーズ選手権の逆転優勝の可能性を残す、セカンドドライバーとしての大役を果たした。
F1公式サイトによると、フェルスタッペンは、「ユウキがトウをくれたことに感謝している。確実に助けになった。彼が自分のラップの1周を犠牲にしてくれたのはありがたいことだ。素晴らしいチームプレーヤーだ。本当に感謝している」と、角田への感謝の意を伝えた。
実はFP3でアクシデントがあった。
角田がピットレーンを走行中に確認を怠りピットを出てきたメルセデスのキミ・アントネッリに衝突されたのだ。マシンの右側が破損し、カーボン片が飛び散った。
角田は「クラッシュがあった」と無線でチームに報告。損傷はあるのか?の問いに「あると思う。サイドポッドの横あたり」と伝えて、再びピットインし、結局、最終アタックができなかったのだ。
アントネッリは、チームに「あなたたちは“行け”と言ったのに…角田が来ていたんだ」と無線で抗議したが、スチュワード(競技審査委員)は調査を行い、メルセデスに1万ユーロ(約180万円)の罰金を科した。
スカイスポーツによると、代表のトト・ウォルフ氏は「ユウキに申し訳なく思っている。彼のマシンの良いパーツを全部壊してしまったようだから。我々のミスだ」と謝罪した。
このクラッシュにより角田のマシンは旧型のフロアに全とっかえすることになった。そのハンデを負いつつ予選に挑んだ角田は、デッドラインまでわずか0.008秒差という僅差でQ1を15番手で突破。
Q2も11番手のハースのオリバー・ベアマンと、わずか0.007秒差の紙一重の争いを制し、ギリギリでQ3進出を果たし、盟友フェルスタッペンのポールポジション獲得をアシストするというミッションを見事に果たしたのである。

