12.17両国に奇跡を…井上尚弥が“陰の司令塔”としてスタンバイ…元WBA王者ユーリは桑原拓が挑むWBO世界戦の勝敗予想を「簡単にはと避けるも強豪王者に油断の兆候が
そのユーリにこの試合の展開、そして願望込みの勝敗予想を聞く。
「願望は特にない」とした上で、こう意見を述べた。
「面白い試合になると思っていて、パワー、テクニックのトニー(オラスクアガ)と、スピードはもちろんテクニックのある桑原がどうさばくかの展開になる。簡単に予想できない展開になるのかなと」
ハッキリと白黒はつけなかった。
ただ2度対戦して2勝0敗の桑原に関しては、「スピードがある。この階級でトップクラス。それに加えて僕が2度戦った中でパワーをあげてきた。コンディションもいいということで楽しみにしている」とも付け加えた。
桑原がスピードでオラスクアガの攻撃力をどう封じるか。
2戦前に京口紘人が善戦したように、ショートカウンターを狙いながら、足を止めた打ち合いでオラスクアガを消耗させる時間帯を作り、その後、空回りさせるように仕向けなければ勝ち目はない。
ただメンタルにムラがあるオラスクアガには油断という名の隙がある。実は、来日後、マウスピースを忘れるという失態を犯して、スパーができなかった日が1日あったという。1日も無駄のできない直前の調整期間でのその出来事は、オラスクアガが桑原を甘く見ている証拠だろう。
「準備は万全。私は3度防衛してきた。水曜日に4度目となるでしょう」
その言葉とは裏腹に公式会見で緊張感は微塵も見られなかった。
元世界王者で歴戦の“ボス”である大橋会長は「こういうタイミングで巡ってきたチャンスには何かが起きるんだよなあ」とも話していた。
オラスクアガが隙を見せても勝てるだけの実力差があるのかもしれない。だが、当日はリングサイドに大橋ジムの“最強のメンター”である井上尚弥が陣取る。オラスクアガの特徴を真似した仮想王者を演じたマススパーで、桑原に必勝法を授けた。当日も通る声でアドバイスを送り続けるだろう。“陰の司令塔”だ。奇跡と呼ぶのは桑原に失礼にあたるのかもしれないが両国で何かが起きる条件が揃いつつある。

