大橋会長が怒った!「このグローブはダメだよ」…桑原拓が挑戦するWBO王者オラスクアガが試合での使用を申請した異様な“鋼鉄”グローブにクレームをつけてWBOの立会人が異例の交換を指令
実はもうひとつの異変も起きていた、
計量時の検診で桑原が脈拍96、血圧164/71と異常に高い数値を示したのだ。その理由を桑原本人がこう明かす。
「事故渋滞で10分前に(計量会場に)着いたので慌てて走ったせいなんです。血圧は過去最高(笑)。本当に慌てました。間に合わないとどうなるのかと」
松本トレーナーの運転する車で横浜から時間に余裕を持って都内の計量会場に向かったが、事故渋滞にはまり、到着がギリギリになって会場内を走ったのがその理由。
だが、計量台に上がった、その桑原の肉体は凄かった。腹筋が8パックに割れ、惚れ惚れするようなバキバキの仕上がりだった。
「過去一ですね。3か月以上やってきた成果が体に出たかな。張り方も違うし、筋肉も大きくなっている。サンドバッグ、ミットを殴っても、威力、衝撃が違う。そこを明日、お見せできたらなと」
そう自画自賛した。
昨年5月に東京ドームで、当時WBA世界同級王者だったユーリ阿久井政悟(倉敷守安)に挑んで判定負けしたときの肉体とはまるで違うという。アンダーカードで再起戦のリングに上がるユーリも「パワーがついているようだ」と認めていた。
桑原は「強く打ったり、緩急をつけてパワーパンチをドラムミットなどにフルで打つトレーニングに取り組んできた。それが体作りにつながった」と、その肉体を作り上げた背景を説明した。
超攻撃的スタイルのオラスクアガには、スピードを生かしたアウトボクシングだけでは通用しない。負けないくらいのパワーで対抗する時間帯が必要で、この桑原のパワーアップはそれに備えたもの。
「攻撃的にくると思うが、真っ向勝負を挑むのか、足を使うのか、その瞬間、その瞬間の閃きと、自分を信じて思った通りのボクシングをする。展開はやってみないとわからない」
戦略が重要になってくるが、今回は、スーパーバンタム級の4団体統一王者である井上尚弥がリングサイドに陣取り“陰の司令塔”としてスタンバイしてくれる。井上は、オラスクアガの特徴を真似した“仮想WBO王者”になりきって、桑原と4ラウンドのマススパーにつきあいアドバイスを送っている。桑原が「めちゃくちゃ参考になった」と口にするほど。これ以上力強いサポートはないだろう。
計量後のリカバリーも、横浜の大橋ジムと同じビル内にある和食店で、おじややうどんなどを胃袋に流し込んだ。これも井上流。そして「あまり食べないんですが、今は体がうなぎを欲している」と、夕食の勝負メシには、うなぎを選んだ。
負ければもう後はない。背水の2度目の世界戦。このクラスで最強との評判を持つオラスクアガを相手に両国でジャイアントキリングを起こす決意がある。
計量後の恒例のフェイスオフを終え、オラスクアガと握手をした桑原は「想定内。特別感じるものはなかった」と強い目をして言った。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)

