「空振り率の懸念で市場が慎重」なぜ村上宗隆は大型契約を結べずホワイトソックスとの2年約54億円「短期高年俸」を選択したのか…2年連続最下位ホ軍は「プレッシャーも少ない気楽な場所」
ヤクルトからポスティングによるメジャー移籍を目指していた村上宗隆(25)が21日(日本時間22日)、ホワイトソックスと2年3400万ドル(約53億6000万円)で契約合意した。複数の米メディアの報道の後にホワイトソックスの公式Xが「村上宗隆がホワイトソックスの一員になった」と発表した。なぜ村上は長期低年俸より2年の短期高年俸を選択したのか。まだ優勝は狙えない再建途中のホワイトソックスで大リーグでの土台を作り2年後に巨大契約を獲得しようとする思惑が見え隠れしている。
ホワイトソックス再建の象徴に
ポスティング交渉の締め切りが22日(日本時間23日)に迫る中で村上の新天地が決定した。シカゴのホワイトソックスだ。
ESPN、MLB公式サイトなど複数の米メディアが報じたところによると、契約は2年3400万ドル(約53億6000万円)。
ストーブ情報に詳しい米サイト「トレード・ルーマーズ」は、村上を「FAトップ50」の全体4位にランクし、8年総額1億8000万ドル(約283億6800万円)という予測を立てていた。
同サイトは「若さとパワーの組み合わせから、今オフ屈指の高額契約を手にすると見る向きも多かった。全盛期を丸ごと買い取るリスクを取る球団が出てきて不思議ではなかった」という。
ESPNも「巨額契約は確実と見られていた」と伝えた。
だが、結果的にそうはならなかった。
なぜ評価が下がったのか。ESPNによると「守備面の評価や、ストライクゾーン内でも空振りが多い点が懸念材料となり、市場は想定よりも慎重な動きを見せた」という。
同メディアによると、ヤクルトでの直近の3シーズン三振率が28%を超え、ゾーン内コンタクト率は72.6%(今季のMLB換算なら下から2番目相当)であることから「打撃面のリスク」が懸念された。
それがギリギリまで決まらなかった理由として考えられている。
ESPNによると、複数の球団が「年俸を抑えた長期契約」をオファーした中で、村上は「短期だが高額な契約」を選択したという。
その理由をこう分析した。
「メジャーリーグのハイレベルな投手陣に対応できることを証明し、将来的な大型契約につなげる道を選んだ形だ。順応に成功すれば、27歳で、再び市場に出て、近年のFA選手と同様に短期契約から“メガディール”を勝ち取る立場となる可能性がある」
前出の「トレード・ルーマーズ」もこう見解を伝えた。
「長期低額の場合、メジャーへの適応に時間をかけられる一方で、将来的な収入の上限は制限されてしまう。保証は2年のみだが、順調に適応できれば、27歳のシーズン前に再びFAとなる。中軸を打てる強打者としての力を証明できれば、2027-28年オフにより大きな契約を得る可能性が高まる」
同サイトによると今回の契約も1年の平均年俸額は5年前に鈴木誠也がカブスと結んだ5年8500万ドル(約134億円)と同等レベルだという。
そして「メジャーに適応する環境としてホワイトソックスほど気楽な場所はないかもしれない」とホワイトソックスの選択を評価した。
ホワイトソックスは、過去3年で平均108敗を喫しており、2024年は“メジャー史上最悪”のワースト記録を更新する121敗、今季もリーグワーストの102敗で2年連続地区最下位に沈んだ。
「来季の期待値は極めて低い。新人の年からワールドシリーズ制覇を夢見ることは難しいが、勝利への過度なプレッシャーがない環境は、村上が打撃面の調整に集中するには理想的とも言える。ペナント争いの最中にスタメンを失う心配も少ない」
そう好意的に見た。

