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海外メディアの取材殺到(写真・山口裕朗)
海外メディアの取材殺到(写真・山口裕朗)

時差6時間“サウジの井上尚弥”は100倍怖い?!5月に対戦辞退のピカソをけなさず「逃げたんじゃない。ファイトマネーの問題」とかばってリスペクトするスーパースターの矜持

 しかもモチベーションが高い。
 地元メディアが繰り返し、サウジ登場の意義や、心境について質問するなど生モンスター登場への期待度はラスベガスの比ではない。
「これは毎回ですけどね。期待を越えていくところを目指してやっている」
 KOも宣言した。
「KOは毎試合、頭に入れている。KO宣言というか、KOしたいと言葉で言いました。どの流れか、どのタイミングになるかを探していく。無理にKOを狙うんじゃなく、しっかりとボクシングを見せながらね。荒々しい強引さではなく美しい展開で」
 ピカソの攻撃力は、至近距離からのボディとアッパーくらいで怖さはないが、ディフェンスのスキルはかなり高い。倒すのに時間がかかる可能性はあるが、もしまかり間違って勝負に来てくれれば「美しい展開」で、2022年のバンタム級時代のノニト・ドネア(フィリピン)戦)以来、2ラウンド以内のスピード決着もあるのかもしれない。
「向き合った感じ方次第であとは相性もある。どうなるか楽しみにして下さい」
 井上はそう言って微笑んだ。
 日本だけに限らず海外メディアの関心は来年5月の中谷戦である。
 井上はサウジに渡る前の公開練習で「ファンの方は来年5月の試合をイメージ、空想して見ると思うので、その試合の内容で、どっちが強いか、どっちかが勝つか、そういった楽しみもあると思う。そういう見方もしてもらえたらすごく盛り上がる日になる」とファンを煽った。だが、その一方でこうも言った。
「仮に僕の試合や中谷君の試合の調子が悪かったとしても、本番は来年なのでそこで勝敗が決まるわけではない。お互い来年5月に向けたモチベーションも違うでしょう。また今回試合をする相手のタイプも違うので自分は一切気にせずしっかりと勝つことだけを目指す」
 この日も舞台上のインタビューでは中谷について聞かれたが、「頭にあるが、今はピカソ一択」とハッキリを明言した。
「周りの人やメディアの方はそこを気にしていますけど、27日の試合に集中したい。それが終わってから5月に向かって発進していきたい」
 そこにブレはない。
 この日の髪色は銀色に近かった。
 「なかなか(髪の色が)言うことを聞いてくれない」そうだが、当日は、淡いピンク色に染める。わざわざそのための専属の美容師も日本から同行した。会場にセットされていた桜の木はもちろん造花だが、鮮やかなピンク色だった。「あそこまでではない」と言うが、グローブ、トランクスの一部にもピンク色を使って統一する予定。サムライではなく日本の“国花”である桜のイメージで艶やかで美しい日本をリング上で表現するつもりなのだろうか。

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