疑惑浮上!「ガルシアは緊急入院などせずホテルのビュッフェで朝食を食べていた」サウジでの拳四朗の世界戦中止となった王者の体調不良に疑念?!IBFはどう裁定する?!
水抜きで体重を落とす計量後のボクサーのほとんどが医療機関で精密検査を受けると脱水症状と判断される。ガルシア陣営がもう少しボクサーの常識的な判断で対応していれば、試合中止は回避できただろう。実際、朝食会場で食事をするほどに回復しているのだ。
陣営が「試合はできたのでは?」と疑惑を抱くのも無理はない。
一睡もできなかったという拳四朗は27日に試合会場で気丈に囲み取材に応じた。
「ショックですが、ここで腐ってもしゃあない。頑張るしかない」
そこまで言うと言葉につまり号泣した。
「いろいろな(気持ちが)交じりますよね。悔しいし、残念やし、練習したことも出せへんし、モヤモヤが残るだけ。落ち込んでもしゃあないとポジティブにいたが、会場に来たら色々と思いが出ちゃう…。気持ちを整理しても意味がない。やるしかない」
7月にリカルド・ラファエル・サンドバル(米国)に1-2で判定負けを喫して以来の再起戦で3階級制覇への挑戦とするIBF王座へのチャンスが巡ってきた。
「これまでで一番のモチベーション」でサウジ入りしグランドアライバルでは現地の民族衣装で登場して現地メディアの注目を一身に浴びた。計量後には日本をイメージしたニューデザインのコスチュームをコシノ・ジュンコさんに用意してもらったことを明かし、「負ければと終わりという危機感もあるし、その分、やる気も増える。いつも以上に実力を出せる」との覚悟を口にしていた。前日には、スーパーフライ級の3団体統一王者のジェシー“バム”ロドリゲス(米国)とプロモート契約を結ぶ「マッチルーム」のエディ・ハーンCEOが「この試合の勝者とバムの4団体統一戦を最優先で実現したい。IBFは(ガルシアー拳四朗の勝者に)指名試合を指令しているが、なんとかなると思う」と明言。ガルシアに勝てばバムとの4団体統一戦のビッグマッチが実現する可能性が濃厚となっていた。それだけになおさらショックは大きいだろう。
気になるのはキャリア「最高」だったファイトマネーが支払われるのかどうか、そして今後の世界挑戦の行方だ。計量をクリアした後(正確には当日計量はクリアしていないが)の体調不良によるキャンセルだけに通常の場合はすぐに王座の剥奪措置などは取られないが、三迫陣営が疑念を投げかける状況をIBFはどう調査してどんな裁定を下すのか。
IBFはパウンド・フォー・パウンド1位のオレクサンドル・ウシク(ウクライナ)でさえ指名試合を行わなかった際に王座を剥奪しようとしたほど厳格だ。ガルシアの防衛戦の実行が不可能と判断すれば剥奪される可能性もあるだろう。ただ今回の拳四朗の挑戦は王者の選択試合で指名試合ではなかった。指名試合の権利は拳四朗ではなくアンドリュー・モロニー(豪州)にある点もややこしい。
「決まれば早めでもいいし、僕らが決められることでもない。待つだけ」
サウジで悲運ボクサーとなった拳四朗はそう語っていた。
失意の拳四朗は家族と共にサウジからドバイへ飛ぶ。新しいチャンピオンベルトを持ってドバイで年越しをする予定だった。
傷ついた心を癒すドバイ旅行となったが、いつもの明るい笑顔を取り戻し、再挑戦の朗報を待つしかないだろう。

