「勝つ自信がなければ(井上)拓真選手に呼びかけない」井岡一翔が衝撃4回KOで5階級制覇の扉開く…5月東京ドーム決戦へ…大橋会長も「やはりレジェンドだった」と前向き…井上尚弥とピンク被りの理由も
プロボクシングのWBA世界バンタム級挑戦者決定戦が大晦日に大田区総合体育館で行われ、元世界4階級制覇王者で同級9位の井岡一翔(36、志成)が同級11位マイケル・オルドスゴイッティ(24、ベネズエラ)からダウンを2度奪い4回2分42秒にKO勝ちした。再起戦&5階級制覇への扉を開くことに成功した井岡は、試合後リング上からWBC世界バンタム級王者の井上拓真(29、大橋)に来年5月の東京ドームでの挑戦を呼びかけた。「勝つ自信がなければ5階級制覇には挑戦しない」と豪語。拓真と共に観戦に訪れていた大橋秀行会長(60)は「井岡選手はやはりレジェンド」と実現に前向きの姿勢を示した。

「階級の壁は感じることなく戦えた」
レジェンドのスキルをすれば階級の壁など関係なかった。
立ち上がりから上下にパンチを散らしながらジワジワをプレスをかけた井岡が2ラウンドに一度目のハイライトを作る。右アッパーから左ボディの電光石火のコンビネーションブローで動きを止めると、捨てパンチの左フックを見せておいてスイング系のショットを左ボディにめりこませた。世界11位のベネズエラ人は、たまらずダウン。ロープを背にして座り込み、必死に呼吸を整えて10カウントギリギリで立ち上がった。
「打つパンチの出力が上がった。もともと左ボディ、左フックは得意なパンチ。全部のパンチが上がったが、得意なパンチのよりキレが増した。パワーが乗っているなと感じた」
井岡にはバンタムのパンチに確かな手応えがあった。
続く3ラウンド、形勢不利とみたオルドスゴイテイは逆転を狙って勝負に来た。左右のフックにアッパーとパンチを振り回しながら前へ。ロープを背負った井岡は、南米特有のリズムで放たれる連打に珍しくディフェンスが追いつかずに何発か被弾した。
だが、「打つタイミングが読み辛かったが、パンチから目を切らずに外す位置を変えてまともにはもらっていない」という最上級のスキルで決定的なダメージを回避していた。
「(相手は)流れを変えるため、粗削りできたが、焦ることなく対処できた」
2750人と発表された場内に「井岡さん頑張って」の子供の声が響き渡った。実は、井岡の2人の息子の友達たちの声で、家族くるみの付き合いをしているから顔も名前もわかっていたという。
「もうちょっと我慢して見ててね、もう倒すから」
そう心の中でつぶやきながらも「力にもなったけど面白くて笑いそうになっていた」とも明かす。
その声を力に変えたのが4ラウンドだ。左フック、右ストレートと次々とクリーンヒットを続け、最後は右ボディからの左ボディでフィニッシュ。オルドスゴイテイは大の字になって苦悶。レフェリーはカウントアウトした。
「これを打てば倒れるなとは打っていない。流れの中で打ってそれでも倒れた。過信するわけじゃないが、やってきたことは出せた」
井岡は、ムキムキポーズを取って咆哮した。
「今日の試合だけで言うと階級の壁は感じることなく戦えた」
複数階級制覇は上へ上がるにつれKO率が下がり苦戦を強いられる。元6階級制覇のマニー・パッキャオ(フィリピン)や元5階級制覇のフロイド・メイウェザー・ジュニア(米国)もそうだった。
バンタムで敵無しだった中谷潤人(M.T)は、サウジアラビアでスーパーバンタム級のテストマッチで苦戦した。
対戦相手のオルドスゴイテイは、米国による制裁で母国のベネズエラから陸路でコロンビアに移動してからの移動を強いられて、合計50時間もの長旅で日本へやってきた。そのコンディションのハンデを差し引く必要はあるだろう。だが、井岡はバンタム級で通用することを証明した。実は、オルドスゴイティの拳は、2ラウンドに井岡のフィジカルに負けて破壊されてしまっていたことが明らかになった。
結果的に対戦をふられる形になったWBA世界バンタム級王者の堤聖也(角海老宝石)は井岡のボクシングを「美しい」と表現した。
「相手がどれくらいのもんかわかんなかったが、井岡さんはパンチ力は関係ない。タイミングと相手の呼吸の間で倒す。フィジカルで押されても体のいなし方が上手。どれだけ手を出してディフェンスで(ジャッジの)印象をもっていくパターンもある。階級の壁に関してはすでにスーパーフライ級で倒し方や戦い方を変え、バンタム級でより変化させている感じだ。フィジカルがこれから上がってきたら、そこらへんが厄介になる」

