明日号砲!箱根駅伝2026の勝敗カギを握る注目の5人のランナー
いよいよ新春を飾るビッグなスポーツイベント第102回箱根駅伝が1月2、3日に大手町~箱根町・芦屋湖の5区間、109.6kmコースの往路、復路で行われる。前回大会で、上位を占めた青学大、駒大、國學院大、早大、中大が「5強」。大混戦が予想されている中で、勝負のカギを握る注目5人のランナーを紹介したい。
3連覇を目指す青学のエース黒田は現役日本人学生“最強”だ
まずは3連覇を目指す青学大のエース・黒田朝日(4年)だ。現役日本人学生で〝最強〟といっていい選手だろう。箱根駅伝は2年連続で2区を走り、前々回は区間歴代4位(当時)の1時間6分07秒で区間賞、前回は1時間5分44秒(区間3位)の区間新。いずれも7人抜きを演じて、チームに勢いをもたらしている。昨年2月の大阪マラソンでは2時間6分05秒の日本学生記録を樹立した。
今季は出雲駅伝の6区で区間賞、全日本大学駅伝は7区で区間賞・区間新。MARCH対抗戦10000mでも青学大記録の27分37秒62でトップを飾っている。今回は補欠登録だが、2区での出走が有力だ。過去2年と比べると、青学大は3~6区の戦力がダウンするだけに、絶対エースでトップに立ちたい。なお黒田は腕時計をつけずに自分の〝感覚〟でペースを刻む選手。「最後の箱根駅伝はこの4年間のすべてを出し切り、勝って終わりたいと思います」と3連覇に向けて、貪欲に攻めていく。
3年ぶりの王座奪還を狙う駒大はスピードスターの佐藤圭汰(4年)に注目したい。京都・洛南高時代は1500mと5000mで高校記録を樹立。駒大進学後もルーキーイヤーから出雲2区で区間賞・区間新、全日本2区で区間2位(区間新)と大活躍した。箱根は胃腸炎により出場できなかったが、チームは駅伝3冠を達成している。2年時は出雲2区で区間賞、全日本2区で区間賞・区間新。10000mで27分28秒50のU20日本記録(当時)を打ち立てた。箱根3区は区間歴代3位の1時間0分13秒(区間2位)と設定タイム以上の走りを見せたが、青学大・太田蒼生に逆転を許して、チームも敗れている。
昨季は恥骨を疲労骨折した影響で出雲と全日本は欠場するも、箱根は7区で従来の区間記録を57秒塗り替える1時間0分43秒を叩き出した。今季も恥骨の疲労骨折に苦しんだが、10月からポイント練習を再開。全日本大学駅伝(7区3位)で復帰した。
「監督たちが求めている結果はチームの流れを変える走りだと思っているので、そういう走りをしたいです」と佐藤。今回は往路での出走が濃厚だが、どんな〝爆走〟を披露するのか。
全日本大学駅伝で過去最高の2位に入った中大は吉居駿恭(4年)の走りがポイントになるだろう。元実業団選手の両親を持ち、2学年上の兄・大和を追いかけて宮城・仙台育英高に進学。1年時には全国高校駅伝の優勝ゴールに飛び込んでいる。中大に進学後は1年時から学生駅伝に参戦。箱根は1年時に4区5位、前々回は7区で区間賞を獲得した。前回は1区を区間歴代4位の1時間1分07秒で独走している。
最上級生となり、「自分が先頭に立って、チームを引っぱりたい」と主将に立候補。夏合宿では苦手な距離走も果敢に取り組み、例年以上に走り込んだ。その反動で出雲は4区で7位と振るわなかったものの、全日本は2区(2位)でトップに立っている。
夏合宿時に話を聞いたときは、「箱根は1区が希望です。前回と同じような走りをしてもそれほど差が開かない、59分台を目指して走れればと思っています」と、兄・大和が持つ区間記録(1時間0分40秒)の大幅更新を視野に入れていた。今回は補欠登録だが何区に起用されるのか。なお中大が勝てば30年ぶりの栄冠となる。
初優勝を目指す國學院大は主将・上原琉翔(4年)がキーマンになる。箱根駅伝は1年時に7区6位、前々回は5区17位、前回は9区6位。昨年2月にハーフマラソンで日本人学生歴代4位の1時間0分30秒(國學院大記録)をマークすると、7月のワールドユニバーシティゲームズのハーフマラソンで銅メダルを獲得した。今季の学生駅伝は出雲(6区4位)で優勝ゴールに飛び込み、全日本は8区4位と好走。最後の箱根は主将
として2区に挑む。
今年の國學院大は上原、青木瑠郁(4年)、高山豪起(4年)、野中恒亨(3年)、辻原輝(3年)の〝5本柱〟が強力だが、絶対エースといえる存在がいない。各校のエースが集う2区では劣勢が予想されている。そのなかで上原がどこまで踏ん張ることができるのか。
「ここまで仲間に慕われ、リスペクトされている主将は見たことがありません」と前田康弘監督が高く評価するだけに、主将の激走で仲間のハートに火をつけたい。
最後のひとりはワセダの2年生だ。今年の早大は5000mで日本人学生歴代3位の13分16秒56を持つ山口智規(4年)と「山の名探偵」と呼ばれる工藤慎作(3年)がダブルエースだ。ふたりは3年連続となる2区と5区に配置された。加えて3年連続で1区(前回4位)を担当している間瀬田純平(4年)とスーパールーキー鈴木琉胤が補欠に登録されている。主力を初日につぎ込み、往路Vを目指す戦略が濃厚だ。それだけに3区に登録された山口竣平(2年)がチームの命運を握る。
「2区はエースの山口、5区は名探偵がいますのでキーマンは山口竣平ですね。出雲と全日本は出ませんでしたけど、彼がガンッと来たら私もどれぐらい走るかわかりません。彼の快走次第でぜんぶ臙脂色に染まるかもしれませんよ」と花田勝彦駅伝監督は大きな期待を寄せている。
佐久長聖高・高見澤勝監督も「エピソードが多すぎて語れないくらいぶっ飛んでいる選手です。彼を注意することは非常に多かったかなと思います。でも彼の凄いところは叱られて落ち込むのではなく、『やってやる!』という気持ちになることです」と教え子について語っている。
前回3区で区間歴代7位の1時間1分15秒で6人抜きを演じている山口。早大のキーマンが前回以上の快走を見せれば、往路Vだけでなく、総合優勝のチャンスが出てくるかもしれない。
(文責・酒井政人/スポーツライター)

