「中谷潤人が負けるかもしれないと思っていた」なぜ井上尚弥サウジ決戦直前に5月東京ドーム「中谷戦白紙→フェザー級挑戦」のプラン変更騒動が起きたのか…真相とは?
プロボクシングのスーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(32、大橋)と3団体で同級1位の中谷潤人(28、M.T)は今年5月に東京ドームで対戦する。だが2人が競演した昨年12月27日の「The Ring V: Night of the Samurai」の試合前日に井上が、突如、中谷戦が白紙で日本人初の5階級制覇となるフェザー級挑戦のプランが浮上していることを明かして大騒動となった。結局、元の鞘に納まったが一体何があったのか。緊急連載の第4弾はその真相に迫った。
前日計量後の囲み会見での発言が発端…
サウジ発の騒動はなにげない井上の発言から始まった。
「会長曰く来年フェザー(級挑戦を)考えている。中谷戦もどうなるかわからない、と。5月にフェザー(級挑戦)もありえるかも、準備しておけよ、と。どうなっているかわからない」
「リヤドシーズン」がニューヨークのマンハッタンをイメージして作った巨大な施設であるブールバード・シティの中にあるグローバルシアター。ここで一連の試合前の行事がすべて行われたが、前日計量後の囲み会見は、そのバックステージで日本人メディアだけを集めて実施された。
本計量が終わり、セレモニー計量まで4時間以上が経過していたため最初のリカバリーを済ませてエネルギーがみなぎっている井上は饒舌で「スーパーバンタム級で今後どこまで戦うのか?」という話になった時にそう明かしたのだ。
さらに井上は「中谷戦か、5階級制覇か。どっちに転ぶかわからない。(今回の試合の)結果次第もある」とまで言った。
その後、大橋秀行会長も井上発言を補足した。
そのニュースがネット上を飛び交うとSNSは大騒ぎとなった。中には「そもそも井上から言い出した発言なのに逃げるのか」という非難の声もあった。5月の東京ドームでの中谷とのスーパーファイトが表面化したのは、昨年3月の年間表彰式。MVPを獲得した井上が壇上で「中谷君、1年後に東京ドームで日本ボクシングを盛り上げよう」と呼びかけたが始まりだった。しかも、サウジ入りしてから大会の主催者に名を連ねているリング誌のポッドキャスト番組の企画でリック・リーノCOOが司会を務めて2人は、対談まで行っていた。サウジでの2人の競演は、5月の東京ドーム決戦を盛り上げるためのプロローグでもあったのだが、いきなり“ちゃぶ台返し”的な状況となっていたのである。
その騒動の余韻を残したまま2人の試合はセミファイナルの中谷からスタートした。スーパーバンタム級への転級テストマッチとなった中谷は、WBC同級10位のセバスチャン・ヘルナンデス(メキシコ)を相手に大苦戦した。
前へ前へ出てきて手数が止まらないメキシカンのブルファイトへの対応に苦しみ、バッティングとパンチで視界が塞がるほど右目を大きく腫らし、115-113が2人、118―110が1人の3-0判定で辛くも勝利した。この118-110の採点には、今回の運営に携わったマッチルームのエディ・ハーンCEOが「118-110は胸クソが悪くなる採点だ。私の採点は僅差でヘルナンデスの勝利」とリング誌に語ったほどだった。
続いてメインに登場した井上は、アラン・ピカソ(メキシコ)にほぼ何もさせずジャッジの一人が120-108とフルマークをつける3-0判定勝利。KO決着こそできなかったが、中谷とは試合内容で明暗を分けた。

