角田裕毅が2026年のシーズン途中にF1復帰する可能性はあるのか…「あるとすればレーシングブルズだがかなり難しい」
2026年シーズンのF1は残念ながら日本人ドライバーは不在となる。レッドブルの角田裕毅(25)はテスト&リザーブドライバーとして厳しい1年を過ごすことになった。だが、角田自身は「もしかしたら僕は1年間、シミュレーターやリザーブドライバーでは終わらないかもしれない。いろんなシチュエーションを聞いてはいる」と語るなどシーズン途中の復帰の可能性を捨てていない。果たして2026年に角田の勇姿をF1の舞台で見ることはできるのか。その可能性を検証してみた。
レッドブルは必ず降格後にイスを用意するので…
2026年のF1は、史上最大規模の規則変更が行われる。しかし、ドライバーに関して言えば、2025年のレギュラードライバー20人のうち19人が2026年もF1に残留するという変化の少ない状況で、新しいシーズンを迎えようとしている。
2025年のレギュラードライバーの中で唯一シートを失ったのが角田だ。レーシング・ブルズで5年目のシーズンをスタートさせた角田は、第2戦中国GP後に、不振に喘いでいたレッドブルのリアム・ローソンに代わってレッドブルに昇格した。
しかし、チームメートのマックス・フェルスタッペンが最終戦までチャンピオンシップ争いを演じたのとは対照的に、角田は思うような結果を出せずにレッドブルのシートをレーシング・ブルズの新人であるアイザック・ハジャーに明け渡しただけでなく、ハジャー昇格によって1つ空いたレーシング・ブルズのシートもF2に参戦していたアービッド・リンドブラッドに奪われ、2026年は、レッドブル・ファミリーのテスト&リザーブドライバーとなった。
果たして角田がシーズン途中に復帰する可能性はあるのか。
結論から言えば、決してゼロではない。というのも、レッドブルがハジャーを昇格させ、リンドブラッドをF1にデビューさせようとしていたことはかなり早い段階から決まっていたと聞く。ならば、角田にレギュラーシートを与えることができなくなった段階で、角田との契約をレッドブルは更新しなくても良かったはずだ。しかし、レッドブルは、テスト&リザーブドライバーとして角田をファミリーに残した。これは、フェルスタッペン以外の3人のドライバーに不安があるからにほかならない。
ただし2026年のシーズン途中での段階と2027年とでは状況が異なる。
なぜなら、これまでレッドブルがシーズン中にドライバーを交代させる場合は、いきなりクビにすることはなく、行き場を与えてから交代という道を選んできたからだ。直近では2025年のローソンがそうだった。さらにさかのぼると2019年の夏休み中にシートを失ったピエール・ガスリーもトロロッソに降格。2016年にシートを失ったダニール・クビアトもトロロッソに戻ってシーズンを続行することができた。
これに対してシーズン終了後にシートを失った場合は、そうではなかった。2020年末にレギュラーシートを失ったアレクサンダー・アルボンはテスト&リザーブドライバーとなり、2024年末にシートを失ったセルジオ・ペレスはそのままチームを離脱した。
また2025年にルーキーながら、いきなり表彰台を獲得したハジャーの実力を考えると、ハジャーがレッドブルに移籍して、角田のように苦しむことはあっても角田以上に不振に見舞われるとは考えにくい。たとえそうなったとしても、レッドブルが21歳のハジャーをシーズン途中に即クビにすることは考えづらく、レーシング・ブルズで再起するチャンスが与えられるはずだ。
そうなるとローソンかリンドブラッドがハジャーと入れ替ってレッドブルのシートを得ることになるのだが、ルーキーのリンドブラッドがいきなりレッドブルへ移籍することは考えづらい。さらに1年前にレッドブルから降格を命じられたローソンを再び起用するのも勇気がいるため、ハジャーを成績不振だけの理由でシーズン途中に交代させることは考えにくい。
これに対してレーシング・ブルズの場合は、成績不振に陥ると、2023年のニック・デ・フリースや2024年のダニエル・リカルドのように、シーズン途中でも即シートを失うケースが過去に何度もあった。
これらの状況を考慮すると、角田が2026年途中に復帰する場合、その可能性が高いのはレッドブルではなくレーシング・ブルズとなるだろう。
ではどちらのドライバーと交代する可能性が高いのだろうか。F2でランキング6位のリンドブラッドがF1でどんな活躍を披露するのかは未知数だ。というのも、F2の成績はそのシーズンのドライバーのレベルによって変わるだけでなく、所属していたチームも考慮しなければならないからだ。また、F2とF1では適応に必要な能力が異なるため、F2で発揮していた速さが、F1では通用しないケースもある。
ウイリアムズのローガン・サージェントはF2で4位だったが、2024年の途中でシートを失った。2025年にF1にデビューしたアンドレア・キミ・アントネッリはF2で6位だったが、1年目から表彰台を獲得した。
リンドブラッドがどちらのタイプかはわからないが、少なくともレーシング・ブルズがルーキードライバーを数戦または十数戦で下ろすことは考えにくい。レーシング・ブルズがシーズン途中で非情の采配を振るうとしたら、35戦のキャリアを持つローソンがリンドブラッドにまったく歯が立たなかった場合だろうか。
しかし、2025年にレッドブルのシートを失ったローソンが、その後レーシング・ブルズで見事に復活した様子を見るとローソンがリンドブラッドに惨敗することも考えづらい。したがって、筆者は角田が2026年のシーズン途中にF1に復帰することはかなり難しいと考える。
そうなると次の可能性は2027年だ。
こちらは2026年途中よりも、さまざまな可能性が考えられる。というのも、2026年限りで契約が切れるドライバーが少なくとも15人はいるからだ。さらに契約は2027年以降も残っているドライバーの中にも条件次第で2026年で契約を解消する可能性がある者もいる。つまり、ドライバー市場は2027年に大きく動く可能性が高い。F1復帰を目指すのであれば、2026年よりも2027年のほうが可能性が高いだけでなく、より良い条件で復帰することができるのではないかと考える。
(文責・尾張正博/モータージャーナリスト)

