誰かが工作?「自分は触っていない」パラレル大回転で失格の斯波正樹が防犯カメラのチェックを依頼…ボードから禁止のフッ素検出
可能性をひとつずつ確かめていく中で、夜間に何者かがキャビンに侵入してフッ素を付着させたかどうかを確かめるために、防犯カメラの有無を含めてチェックを依頼した。たとえ第三者による“陰謀説”が証明されても、一度下された失格はおそらく変わらない。それでも斯波は、真実を知りたいとこう続けた。
「今まで同じボードを使って、同じワックス塗ってきた中で一度もフッ素の陽性判定は出ていない。僕としても何がどうなっているのかがまったくわからない。今は日本チームのスタッフもいろいろと調べてくれていますし、もちろん誰も責めたくないし、結果は覆らないと思いますけど、それでも何がどうだったのかを知りたいんです」
2018年の平昌冬季五輪のスノーボード男子パラレル大回転で27位だった斯波は、前回2022年の北京冬季五輪出場を逃している。その間に世界選手権に9大会連続で出場してきた斯波は、39歳で迎える今大会出場を照準にすえてきた。
全日本スキー連盟(SAJ)から、ミラノ・コルティナ冬季五輪代表決定が発表された先月20日。斯波は自身のインスタグラムにこんな思いを綴っている。
<僕の【競技人生のテーマ】は、「諦めない気持ちと挑戦し続ける姿勢を体現すること」そしてその先に、「みんなの夢と希望の星になること」です。どんなことがあっても目標を見失わず、前へ進み続ける。その姿を見てくださった老若男女問わず多くの方々が、少しでもポジティブな気持ちになって、「私も、もうちょっとだけ前に進んでみようかな」と思えるきっかけに、僕がなれたら嬉しい。それが僕が競技を続ける存在意義です>
目標をかなえた自分を誇りに思うからこそ、リビーニョ・スノーパークで待っていた予期せぬ結末に動揺を隠せない。インタビューではこうも語っている。
「少なくともちゃんと予選は滑り切りたかったし、その先の決勝にも行くつもりでいたので、こんな結果になってしまって本当に申し訳ない気持ちしかありません」
斯波が唯一、出場するスノーボードの男子パラレル大回転は予選に引き続いて決勝トーナメントも行われ、ベンヤミン・カール(40、オーストリア)が金メダルを獲得した。レースがすべて終了した今、この先も結果は覆らないだろう。それでも自分自身を納得させるまで、斯波は2大会ぶり2度目の冬季五輪を戦い続ける覚悟だ。

