個人戦金メダル”本命“『4回転の神』マリニン「大ピンチ説」の真偽…ミス目立つ“異変”に1週間4度出場の疲労…「絶好調の鍵山、佐藤にチャンス到来か」…無良崇人氏の見解は?
実際、SPでも4回転アクセルとトリプルトゥループの連続ジャンプの予定を4回転フリップに変えていた。結局、団体戦では“最終兵器”を一度として起用しなかった。
無良氏はそこに2つの狙いがあると見ている。
「女子フリーが終わった段階で首位に並び、その順位を踏まえて確実に点数を取りにいかねばならないシチュエーションでした。そうなるとミスはできませんから、得点は稼げるがリスクのある4回転アクセルを回避したのは最善の選択だったと思います。金メダルを獲得するためには、プログラムの内容を一段階下げてもミスなくやり切らねばならない。五輪という特別な舞台、そして1位になるか、2位になるかのプレッシャーによる緊張がミスを誘発したと思っています」
決して力を50%セーブしたわけではない。
「一方でこれは僕の推測ですが、個人戦に向けて4回転アクセルを温存した可能性はあると思います。調整として有効な手段です。フルで100%を2回出すのは至難の業です。1週間で2回も試合がある設定ですから、団体戦でワンランク下げ、個人戦に120%に持っていくのは戦略の一つです」
それでも1週間にSP、フリー、SP、フリーと4度もリンクに立つのは過酷なスケジュールだ。
対照的にSPでマリニンを打ち負かした鍵山はフリーには出場せず中2日の回復日を作れた。
だが、無良氏は“マリニン大ピンチ説”をこう否定した。
「僕は団体戦での悔しさを個人戦にぶつけてくると考えています。確かにSP、フリーと続け、中1日で個人戦に向かうことへの肉体的な負担は無視できません。そのデメリットの一方で初めての五輪を個人戦の前に経験でき空気感を味わったことのメリットも大きいのです。彼はここまでも数々のプレッシャーがある試合の中で、全種類の4回転に挑むなど、頭ひとつ抜けている存在です。マリニンはそういう次元で試合をしています。前回よりもいい内容で演技しようと向上心を持ち続け、フリーに4回転を7本入れるというプログラムにもチャレンジしています。そう簡単には崩れません。逆に団体で完璧を成し遂げていれば違ったプレッシャーに襲われる可能性もありました。失敗があったことで個人戦では思い切りできるのではないでしょうか」
2シーズン負けなしのマリニンがやはり金メダルの大本命であることに疑いはない。
ただ鍵山にもチャンスがある。

