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高梨沙羅が混合団体4年越し銅メダルに歓喜の涙(写真:長田洋平/アフロスポーツ)
高梨沙羅が混合団体4年越し銅メダルに歓喜の涙(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

「今日は本当に幸せな1日だった」高梨沙羅を4年越しの混同団体銅メダルで泣かせた日本チームの勝利戦略とは何だったのか?

 チームも失敗を繰り返さないための万全の対策を尽くした。
 スーツに関しては、「安全策として規定内ギリギリのサイズのものを作らず、なるべく身体サイズにフィットして各部分の余裕はほんの少しにして、スーツチェックを問題なくクリアできるものに仕上げました」と岩瀬氏。スーツメーカーのスタッフが現場にミシンを持ち込んで対応した。また1番手をノーマルヒルで銅メダルを獲得して勢いに乗る丸山に任せ、2番手にチームの精神支柱である小林を置き、前回1番手だった高梨は3番手に回してプレッシャーを弱め、アンカーにノーマルヒル銅メダルで自信を持った二階堂を配置した。その布陣も功を奏した。
「高梨を割と楽に飛べる3番手に置いたことと、日本チームのまとまりの良さが高梨のリラックスを生みました。その上で絶好調のアンカー二階堂にかけてドイツの追い上げを退けました」
 岩瀬氏はそう評価した。
 2回目のアンカーでオーストリア、ドイツがコーチリクエストでゲート位置を一段下げてきた。ゲートポイントのプラスを考慮しての仕掛けだ。だが、日本はゲートは下げない選択をして二階堂がその時点でトップに立った。このチームの駆け引きも銅メダルにつながった。
 会場では4年前の北京大会をともに戦いながら、丸山が台頭した今大会では混合団体のメンバーから外れた伊藤有希(31、土屋ホーム)が見守っていた。そして、表彰式を終えた高梨とハグ。無念さを共有した盟友の伊藤から「お疲れさま。よく頑張ったね」と銅メダルをねぎらわれた瞬間に涙腺が決壊した。
「喜びのハグができて最後は良かった」
 伊藤、小林とともに4年前のチームを形成した佐藤幸椰(30、雪印メグミルク)の名前もあげながら、高梨は、目を潤ませながらこんな言葉も紡いでいる。
「それまで我慢していたんですけど、涙が止まらなくなってしまいました。あのときに一緒に飛んでくれた(伊藤)有希さんや(佐藤)幸椰さんと取ることができなかったメダルを、今こうして獲ることができたんですけれども、たくさんの方の力があって獲れたメダルです。一緒に飛んでくれた仲間も含めて、応援していただいた日本チームのみなさんのおかげで、練習以上の、そして個人戦以上の良いジャンプができたと思うので、すごく支えられて、飛ばせてもらったラウンドでした」
 泣き崩れた北京五輪から1465日。やっと忘れ物を手にした高梨だが、まだ戦いは終わっていない。15日(日本時間16日)に女子個人ラージヒルが控えている。
「筋力が落ちてジャンプに昔の張りがなく、膝の怪我の影響やメンタルとモチベーションなどにより、普通の選手であれば今回のメダルでもう辞めようとなるかもしれません。でもリベンジという目的もあったジャンプにはこれまでの豊富な経験と円熟味を増した技術が凝縮されていました。これが彼女の現在の良い面だと思います」
 前出の岩瀬氏は高梨の“有終の美”にそう期待を寄せていた。

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