豪州の銀ジェームズが「誰かに負けるとすれば(戸塚)優斗だった」と大技トリック連発の金メダリストへの完敗を認める
ミラノ・コルティナ冬季五輪のスノーボード男子ハーフパイプ決勝が13日(日本時間14日)に行われ、戸塚優斗(24、ヨネックス)が悲願の金メダルを獲得した。2位で2本目に臨んだ戸塚は、大技トリックを連発する初挑戦のルーティーンをフルメイク。95.00点を叩き出し、93.50点で銀メダルのスコッティ・ジェームズ(31、豪州)と92.00点で銅メダルの山田琉聖(19、専門学校JWSC)との史上最高レベルの激戦を制した。3度目の五輪で初のメダルを最も輝く色で手にした戸塚は「これまでやってきたことが良かったと思える瞬間でした」と歓喜の涙を流した。
「自分のスノーボードの人生が詰まってきたメダル」
一世一代のルーティーンで夢をかなえた。
山田に続く2位で迎えた決勝の2本目。91.00点をマークした1本目と同じく、戸塚は従来とは逆に右足を前にしてドロップインした。しかも決勝を制するために用意してきたまったく新しいルーティーンを、1本目よりさらにグレードアップさせた。
いきなりキャブ、フロントサイドのトリプルコーク1440(斜め軸の縦3回転、横4回転)を立て続けに決める。もっとも、1本目よりさらに回転数をひとつ増やした大技の連発は序章に過ぎなかった。3つ目のヒットでスイッチバックスタンスから、アーリーウープ(進行方向と反対に回転)ダブルロデオ900(横2回転半)を披露。このときの最高到達点は自身最高の5.3mに達する美しさでも魅了した。
続けてスイッチバックサイド1080(3回転)、さらに最後をバックサイドダブルコーク1260(3回転半)で締める。完璧な手応えがあったのだろう。右手でガッツポーズを作った戸塚は、さらに両拳を何度も握りしめる。この夜で最高となる95.00点が表示される前から、ゴーグルの奥の両目には光るものがあった。
決勝に臨んだ12人でただ一人、トリプルコークを使わない独創性の高いルーティーンで銅メダルを獲得した初出場の山田をして「みんな、レベルが高すぎて」と脱帽させた異次元のルーティーン。
2018年平昌大会で銅、前回北京大会で銀メダルだったジェームズでも届かない領域に足を踏み入れた戸塚は、表彰式後のフラッシュインタビューで「夢のひとつが叶ったというか……」と万感の思いを言葉に変換し続けた。
「長いオリンピック、最初の平昌から始まってうまく滑れなくて、ずっと苦しんできたんですけど、やっとこうこの何年間やってきたことが報われたというか、結果として出たと思います。このオリンピックという舞台に少し苦手意識もあって、自分の緊張する気持ちを抑えられないところがあったんですけど、今日はすごく落ち着いて1本目を滑れましたし、その後のランもうまく決められました。そうですね、本当に成長しましたね」
初挑戦だった平昌大会は決勝の2本目で転倒し、担架で運ばれてそのまま無念のリタイアを余儀なくされた。前回北京大会は決勝の3本を滑りきりながらも、なかなか波に乗れずに10位でフィニッシュ。金メダルを獲得した平野歩夢(27、TOKIOインカラミ)の背中を追い続ける覚悟を、こんな言葉とともにより強くした。
「トリックも参考になるし、自分を一番やる気にさせてくれる存在です」
その平野が開幕前に骨折を含めた大怪我を負いながらも強行出場した2本目で86.50点をマーク。この時点で山田、戸塚、平野流佳(23、INPEX)、そして平野歩と上位4位までを日本勢が独占した歴史に残る大一番へ、戸塚も覚悟を決めていた。
「普段と違う方向からドロップインしたんですけど、あれが自分のマックスだったので。1本目で最後までたどり着けたのもすごく自信になるし、2本目にトリプルのバック・トゥ・バックで決められたのも、自分にとってすごく自信につながりました」

