「TVの前で泣くつもりはなかったのに」1500m6位に終わった高木美帆が姉の菜那さんに「よく頑張ったよ」と声をかけられ涙腺崩壊…「頑張っているだけで終わらせたくなかった」
ミラノ・コルティナ冬季五輪のスピードスケート女子1500mが20日(日本時間21日)、ミラノ・スピードスケート競技場で行われ、世界記録保持者の高木美帆(31、TOKIOインカラミ)が6位に終わって3大会連続のメダルを逃した。目標に掲げていた金メダルへ果敢に攻めた高木だったが、課題のラスト1周で大きく失速した。テレビの解説を務めていた姉、菜那さん(33)によるインタビューで「良く頑張ったよ」と労われた高木は、涙を拭いながら「頑張っているだけで終わらせたくなかったので、悔しいところはある」と本音を吐露した。
「語弊を生むかもしれないですけど」
一度は乾いたはずの涙が再び込み上げてきた。
報道各社が順に取材していくミックスゾーン。
最後に待っていた菜那さんと、競技者と取材者を隔てるフェンス越しに抱き合った高木は、淡々と答えていた直前のフラッシュインタビューから一転して涙腺を潤ませた。
「1500m、楽しかったですか?」
菜那さんから問われた高木が、視線を上げながら言葉を返す。
「そうですね。最後の1周はつらかったんですけど……」
次の瞬間、再び菜那さんに「頑張ったよ」抱きしめられた高木は「あまりテレビの前で泣く予定ではなかったのに……」と本音を吐露した。
「でも過去2大会、1500mのスタートラインに立ったときの気持ちを考えると、平昌も北京もすごくしんどい、何て表現すればいいんですかね、恐怖心やプレッシャーを感じながら、足が震えていた、というのもあったんですけど、今日はもう行くだけだと思って。語弊を生むかもしれないですけど、気持ちよくスタートは切れたと思っているので、そこだけは良かったと思っています」
言葉通りにスタートから積極的に飛ばした。
2人一組で滑ってタイムを競い合う1500m。1分49秒83の世界記録を持つ高木は最終第15組で登場した。トップはアントワネット・デヨング(30、オランダ)が叩き出した1分54秒09。これを上回れば2018年平昌、2022年北京両大会で続けて獲得した銀メダルを上回る悲願の金メダル獲得が自動的に決まる。
最初の300mは24秒96とデヨングの25秒26を上回った。続く700mと1100mのラップタイムも、いずれもライバルを上回った。しかし、デヨングが31秒03だったラスト400mで32秒26と大きく失速してしまう。700mから1100mまでのラップタイム29秒67から下げ幅は実に2秒59に達し、1分54秒865の6位で表彰台を逃した。金メダルを獲得したデヨングの下げ幅は1秒23。
今季の高木はラスト1周を課題に挙げ続けてきた。
今大会前で最後の一戦となったドイツW杯でも、高木の下げ幅は2.6秒だった。序盤から飛び出していくスピードに加えて、終盤のスタミナも求められる1500m。菜那さんから「最後まで出し切れましたか?」と問われた高木は、オランダ出身のヨハン・デビッド・コーチ(46)の名前をあげ、熟考した上で次のように語った。
「そうですね……出し切れたと思います。ヨハンからは『本当だったらもっと速く滑れるはずだし、それは俺の責任だ』みたいな感じで言われたんですけど、自分の中で今までやってきたことを思い返すと、だんだん1500mが走れなくなっていっている、というのも感じている中で、この結果は受け入れている部分もあります」

