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なぜ中井亜美はミラノ・コルティナ五輪で銅メダルを獲得できたのか(写真:西村尚己/アフロスポーツ)
なぜ中井亜美はミラノ・コルティナ五輪で銅メダルを獲得できたのか(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

中井亜美の銅メダル“首かしげポーズ”を生んだシーズン前の作戦会議…「トリプルアクセルをフリーで2回やりたい気持ちがあったが勝つための戦略はそこじゃなかった」【緊急連載③】

 実は、シニア1年目を前に中庭氏は中井と重要な作戦会議を開いていた。
「シニアでは、トリプルアクセルをフリーで2回跳んで技術点をこれ以上上げる道よりも、技術構成点をあげる道へシフトしないと勝てないとわかっていました。本人にはトリプルアクセルを2回やりたいという気持ちもあったのですが、勝つための戦略としてはそこじゃなかったんです」
 実際、ジュニア時代には、中井はフリーでは単独のトリプルアクセルと、トリプルアクセルをコンビネーションに組み入れるプログラムに挑戦していた。
 だが、中庭氏はそのリスクへの挑戦よりも、スケーティング技術に加えて、エレメンツのつなぎや、表現力を高めて、演技構成点の部分を磨き、レベルアップしていくことの重要性を説いた。
 結果、トリプルアクセルをSP、フリーの冒頭に1本ずつに絞ったプログラムが銅メダルにつながった。SPの演技構成点の33.69点は、金メダルのアリサ・リュウの35.25点に迫るものだった。
「もちろんトリプルアクセルの成功が大きかったのですがその方針を信じてくれて、取り組んでくれて、それが評価されたことが銅メダルにつながったと思っています」
 中庭氏はそう振り返った。
 フリーでは演技後の唇に指をやり首を可愛くかしげたポーズが話題となった。
 トリプルアクセルは成功したものの、連続ジャンプの2つ目が抜けて2回転となり、後半の3回転ループのエッジにアテンションが付き、回転不足を取られるなど、小さなミスが重なっていたこともあり、中井は「ほんのわずかなミスで順位が大きく変わるので不安な気持ちだったり、メダル届いたかなという気持ちだった」と明かした。
 中庭氏も「ああいうポーズは初めて見たのでビックリしました」という。
「確かに微妙な演技でした。もっと悪ければメダルがないとわかりますし、めっちゃよければ、ガッツポーズをしたでしょうしね。アクセルは降りたけれど、2つのミスがありました。どうだろうっていう心境が素で出たんでしょう。17歳女の子ですからね」
 ただ狙ってはいなかった五輪に出場するだけではなく銅メダルを獲得できた意義は限りなく大きい。中庭氏もこう評価している。
「今回のメダルの結果に感動したのはもちろんですが、4年後に向けての大きな可能性を示してくれたことですよ。トリプルアクセルもまだ本当の意味では完成していません。この1年、本腰を入れ始めた演技構成点の部分にも、まだまだノビシロがあります。そういう意味で、この銅メダルは凄かったし、次の五輪への期待を膨らませてくれました」 
 2030年のフランス・アルプス五輪に向けて、ジュニア時代に一度も勝てなかった島田麻央ら、国内のライバルは多いが、出場することが目標ではない。メダルの色を輝かせること…。そして陣営は4年後に向けて、あるチャンレジを検討している。(次回に続く)

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