• HOME
  • 記事
  • 格闘技
  • 伝説ドネアを“神の左”で沈めた増田陸が笑わなかった理由とは…挑戦を受ける可能性があるWBA王者の堤聖也が「まずいんじゃないか」と感じた43歳レジェンドの異変
増田陸の左がドネアを沈めた(写真・山口裕朗)
増田陸の左がドネアを沈めた(写真・山口裕朗)

伝説ドネアを“神の左”で沈めた増田陸が笑わなかった理由とは…挑戦を受ける可能性があるWBA王者の堤聖也が「まずいんじゃないか」と感じた43歳レジェンドの異変

「丁寧に綺麗に崩しながら、もう打っていいよ、と左を打ち出し、当たりだした」と大和トレーナー。
 だが、その6回にドネアも黙って打たれてはいなかった。
 増田が、ドネアの伝家の宝刀である左フックに警戒心を強めている裏をかき、右フックをヒットさせた。
「底力を感じた。あのフックは効きました」と増田は振り返った。
「カウンターを狙ってきていた。後半になっても目が死んでいなかった」
 だが、リングサイドから見守っていた堤はドネアの異変に気がついていた。
「入場のときに雰囲気が前回と違った。ちょっとまずいんじゃないかと。よくない雰囲気を感じた。キレがなかった?僕もそう思った。それでもいけると思ったんでしょうね」
 堤と互いに顔の形が変わるほどのフルラウンドの激闘を戦ったのが、昨年12月17日。ドネアは「回復力が早いのが私の特徴だ」と、3か月を切る短い間隔で、この試合を喜んで受けたが、やはりダメージの蓄積は隠せなかった。それでも果敢にインファイトを仕掛けて増田を苦しめたのはレジェンドのプライドとキャリアだったのだろう。
 リングを降りるとドネアは堤の側に寄り、日本語で「ごめんね、ごめんね」と繰り返したという。
 それは再戦を果たせなかったライバルへの懺悔だった。
 ドネアは、試合後にすぐさまシャワーを浴びて「会見に出るかどうか体と相談してそこから考える」と関係者に伝えた。だが、左目の上を切り、増田の左を食らったダメージを感じたのだろう。しばらくして公式会見をキャンセルする意向が伝えられた。
 堤は左を中盤まで我慢した戦略を3年前に判定勝利した時の増田と違う成長部分だと強調した。
「左を隠し持って、途中からドネアに手を出させて疲れさせるという組み立てができるようになっていた。プランを組んでそれを遂行できるようになっていた。あれは良かった」
 そして自らへの挑戦権を得た増田へ「よく上ってきたね。凄いなあとは思います」とのメッセージを送った。
 だが、この一言を付け加えることも忘れてはいなかった。
「手強いですよ。でも僕は負けないから。(ドネアのように)倒れない。決まれば、やっつけますけど」

 

関連記事一覧