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JBCのボクシングライセンスを取得した石井慧の仕上がったボディ。ボクシング2戦目に挑む(©︎3150FIGHT)
JBCのボクシングライセンスを取得した石井慧の仕上がったボディ。ボクシング2戦目に挑む(©︎3150FIGHT)

元柔道金メダリストの石井慧が総合格闘技を引退?!兼業禁止のJBCボクシングライセンスを取得して今日プロ2戦目のリングへ

 プロボクシングの「3150FIGIHT vol.4」(6日、エディオンアリーナ大阪)の前日計量&会見が5日、大阪市内のホテルで行われ、元柔道の北京五輪100キロ超級金メダリストで総合格闘家の石井慧(36)がJBC(日本ボクシングコミッション)のボクシングライセンスを取得してハン・チャンス(31、韓国)とのヘビー級4回戦の試合に出場することが明らかになった。大阪府堺市にあるミツキボクシングジムの所属となり、この日、正式に手続き書類にサインしてライセンスが交付された。JBCルールでは総合格闘技とボクシングの兼業は禁じられているためライセンス交付を受けた以上、石井は総合格闘技から“引退”ということになるのだが…本人は「僕は格闘家。いつ何どきどんなルールでも戦います」との考えを示した。物議を醸しそうだ。

 「僕は格闘家。いつ何どきどんなルールでも戦います」

 

 亀田興毅氏がプロデュースする大会の前日計量及び会見は、段取りが悪く、ドタバタ続きだったが、その独特のキャラクターで盛り上げてくれたのが「サトシ・イシイ」こと元金メダリストの石井だった。
 第1試合に出場する芝野浩記(スパイダー根本)が、対戦相手の森本竜馬(KWORLD3)を「チキン。これ食って体でかくしろ」と挑発。コンビニで買ったサラダチキンを手渡そうとすると森本が「おまえが食え」と拒否。微妙な空気が流れたが、石井が「じゃあオレがもらっていいですか」と乱入して大爆笑を誘ったのだ。
 実際「ホテルのサンドイッチが2600円もしたので」レストランへ入るのを遠慮して空腹だった石井は、そのサラダチキンを食べたという。
 そして、この日、会見場の隅で石井は、格闘人生の節目となる書類にサインをしていた。昨年8月にクロアチア国籍、クロアチアライセンスの“逆輸入ボクサー”「サトシ・イシイ」としてボクシングデビュー。高山秀峰(スパイダー根本)に判定勝利した石井が、今回はミツキ・ボクシングジム所属選手としてJBCのプロライセンスを取得して出場することになったのだ。
 本来ならば、プロテストを受験せねばならないが、クロアチアでのライセンス取得の実績があり、高山とのヘビー級4回戦でのスキル、体力などが評価されて、プロテスト免除でC級ライセンスが認定された。
 所属先となるミツキジムの中村喜吉治会長は、「本人が本格的にボクシングをやりたいということで、いくつかのジムから話があったみたいですが、うちの所属で話がまとまりました。元々大阪出身の方ですしね。私は新しい挑戦が好きなので、お互いの考えが一致しました。石井選手は、格闘家としての実績、知名度もありヘビー級というのが魅力です。ポテンシャルは凄いですからね。そして真面目で取り組む姿勢が真摯な人。当面の目標としては、ヘビー級の日本王者である但馬ミツロ選手(KWORLD3)とのタイトル戦を実現できるまで実力を伸ばしてもらいたい」と説明した。
 ミツキボクシングジムは、和歌山の南紀白浜に立派な合宿所をもっており「そこでもトレーニングをしたい」と石井は希望したという。
 JBCルールでは第12条で現役の総合格闘家など他のプロスポーツライセンス保持者の兼業を禁じている。また「特別な許可がない限り」ボクシングライセンス保持者は他の格闘技関連団体への関与もできない。
 つまり石井は「もう総合格闘技の試合には出られませんよ」という条件のもとJBCのボクシングライセンスを交付されたのだ。今回のライセンス交付は、2009年以来、ヒョードルやミルコ・クロコップらと激闘を演じてきた総合格闘技界からの“引退”を意味する。元K-1王者のOPBF東洋太平洋スーパーバンタム級王者の武居由樹(大橋)も、キック界を“引退”してボクシングへ転向している。
「もうボクシングに専念するのか?」と石井本人にぶつけたが、「今は試合前なのであまり言えないが、オファーをもらえれば、出れるときは出たい」と話すにとどまり、「僕は格闘家。いつ何どきどんなルールでも戦います」と、今後も総合格闘技とボクシングの両方をフィールドにして戦う考えがあることをほのめかした。だが、JBCのボクシングライセンスを取得した以上、総合格闘技界との行き来は許されない。もし総合格闘技の試合を行うことにでもなれば問題となる。
 ミツキジムの中村会長は、「もし総合格闘技の試合に出るということになれば、一度、ライセンスを返上します。そして、もう一度ボクシングの試合のときに申請し直すことになります」という。
 だが、返上したライセンスの再交付には、一定の期間をあけることが必要となり、JBCが再交付を認めないケースも考えられる。過去に格闘技→ボクシング→格闘技→ボクシングと戦いの舞台をコロコロと変えた例はない。それを許すと「他のプロスポ―ツとの兼用禁止」のJBCルールが有名無実化するからだ。

 

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