
なぜ中日の根尾昂は7年目で変貌兆しを見せたのか?「野手投げ」と揶揄された投球フォームに戻して広島戦で1回をピシャリ…最速150kmでドラ1位同期の小園海斗から三振奪う
中日の根尾昂(25)が3日、マツダスタジアムでの広島戦の8回に、中継ぎで今季初登板し、1イニングを三者凡退に抑えた。ストレートの最速は150キロをマーク。課題だったコントロールも改善され、今後、中日のブルペンを支える戦力となる可能性を示した。なおゲームは中日が0-2で敗れ、連勝が4でストップした。
コントロールが改善してファームでは防御率0.00
0-2で迎えた8回に井上一樹監督が敵地のマウンドに送り出したのは根尾だった。今季初登板。1番の中村奨成から始まる厳しい打順だった。その初球は高めのゾーンに投げ込んだ149キロのストレート。押し込まれた中村はポーンと三塁ファウルフライを打ち上げた。続く菊池涼介には高めにフォークが抜けたが、三遊間のあたりを逆シングルで捕球したロドリゲスがジャンピングスローでアウトにするファインプレー。プロ入団時はショートでスタートした根尾には、そのプレーの素晴らしさがわかるのだろう。驚いた顔でロドリゲスを指差して称えた。
そして圧巻が2018年のドラフト同期の小園海斗との対戦だった。大阪桐蔭の根尾には中日、巨人、ヤクルト、日ハムの4球団が1位で競合して当時の監督だった与田剛氏が引き当て、報徳学園の小園にも、同じく広島、横浜DeNA、ソフトバンク、オリックスの4球団が競合して広島が交渉権を得た。根尾は、野手から投手転向と紆余曲折し、小園は、中軸打者。ドラフトから7年後の立場は大きく差がついていた。
根尾は、慎重に139キロのフォークから入りファウルを奪うと、そこからストレートで押していった。カウント1-1からの3球目のストレートは、この日最速の150キロをマーク。空振りを奪い、追い込むと、続けてアウトコースへ150キロのストレートを投げ込んだ。これはボールになると、小園に3球続けてファウルで粘られた。カウント2-2からの勝負球のフォークは大きく内角低めに外れてフルカウントとなったが、根尾はフォークを連投した。ボールゾーンへ落ちるそれに小園のバットは空を切った。
マツダスタジアムには縁がある。2022年5月21日のプロ初登板も、ここで、昨年、最後の1軍登板となったのも8月4日のマツダスタジアムだった。
中日スポーツの報道によると、井上監督は「それなりのピッチングはできていた。(コントロールが乱れる)暴れん坊将軍になりがちだけど、それが見えなかった。次もその次もとこちら側が考えていいのかな。そういう機会が増えていくように本人が自覚してやっていってくれればいい」と評価した。
わずか13球だったが、ボール球は4球。フルカウントから小園に四球を与えずストライクゾーンで勝負できていた。課題のコントロールが改善されたと見ていい。
なぜ根尾は変貌の兆しを見せたのか。
実は、沖縄・読谷の2軍キャンプですでにその兆候が見えていた。2022年の二刀流時のフォームに戻していたのだ。
落合英二2軍監督が、こう説明していた。
「いろんなことにチャレンジしてきたが、野手から投手になりたての頃の理想のフォームにようやく戻ってきた。シンプルで、立ち方が綺麗で(フォームが左右にぶれる)幅も小さく(ボールをホームベースへ投げる)方向性もつかまえている。野手から投手になりたての頃は、『ピッチャーの投げ方じゃない』とか言われたが、僕の中では、あれは野手投げではなく、腕が遠回りすることもない理想形だった。一番力のあるボールを投げることができてコントロールがよくなるフォーム。今の投げ方があっている。これを止めてもらいたくないので、今はひたすら褒めているんです」