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阪神の大竹が“カープキラー”の本領を発揮して10勝目。打っては奇策のバスターを決めて自らを援護した(資料写真・黒田史夫)
阪神の大竹が“カープキラー”の本領を発揮して10勝目。打っては奇策のバスターを決めて自らを援護した(資料写真・黒田史夫)

“神采配”連発の岡田監督は「新井カープに負けない」ことを予告していた…なぜ阪神は7連勝で広島に事実上の“引導”を渡しマジックを「7」に減らすことに成功したのか?

 阪神が9日、甲子園で2位広島との直接対決の“第2ラウンド”に5-1で快勝して7連勝、マジックを「7」に減らした。対戦成績が12勝7敗1分けとなり「リーグ内での勝率」でも阪神が広島を上回ることになったためマジックが一気に3つ減ったもの。“カープキラー”の大竹耕太郎(28)が7回途中まで無四球1失点に抑えて10勝目。2回にその大竹にバントのサインから一転、命じたバスターがタイムリー二塁打になるなど岡田彰布監督(65)の“神采配”も冴えわたった。事実上、広島に“引導”を渡す形になったが、岡田監督は、この結末を予告していた。

 大竹へのバスターのサインがズバリ!

 

ベンチでサインを出しながら岡田監督は笑っていた。
 2回だ。佐藤が右中間二塁打で出塁。ノイジーが一、二塁間を破る先制タイムリーを放ち、坂本の送りバント、木浪のライト前ヒットで、さらに一死一、三塁のチャンスに打席には大竹が入った。
 初球、2球目とバントの構えから見送って2ボールとなった。
 3球目もバントの構えから見送って今度はストライク。そして4球目に満員の甲子園がどよめき、大歓声に包まれる。なんと大竹がバントの構えからヒッティングに切り替えてバスター。叩きつけた打球がファウルにならずレフトへ向かって伸びていく。ワンバウンドでフェンスを直撃。大竹のプロ2本目のヒットがタイムリーツーベースになったのである。
 岡田監督がバントからバスターへサインを切り替えた理由を明かす。
「(相手の内野がゲッツー体制ではなく)前に来たからね。で、変えた」
 岡田監督いわく、その前に出していたバスターのサインを大竹が見逃していたというが、完全にバッテリーの裏をかいた。まるで岡田監督の手のひらの上ですべてが転がっているかのような“神采配”である。
 大竹も岡田監督の意図をくみ取り「ゲッツーだけは打たないように、外野フライでいいやっていうぐらいで打った」という。
 その打球を岡田監督は、「最高飛距離やないか」と称し、感触を聞かれた大竹も「最高の気持ち良さでした」と振り返った。
 さらに一死二、三塁から近本がレフト、ショート、サードの間の“魔のトライアングル”に打球を落として2点タイムリー。一気に4点を奪い、ゲームの主導権を奪ったのである。
「1点でいいと思っていた回で4点をとれた。大きかった」
 岡田監督の想定外の出来事が起きるのが、9月無敗のチームの勢い。
 ここまで対広島に4勝0敗、防御率0.76の成績を残していた大竹は遺憾なく“カープキラー”ぶりを発揮した。新井監督はデータを頼りに左腕の大竹に左打者を並べてきた。だが、5回先頭の坂倉にレフトフライを打たれるまで外野に1本も打球を飛ばせない。序盤はストレートを軸に組み立て、4回からは変化球に切り替えて、6回まで二塁も踏ませなかった。岡田監督は、9月に入って打率が急上昇している堂林や、売り出し中の末包がラインナップに入ってくることを予想していたそうだが、新井監督の奇策は裏目になった。

 

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