
「いまだにフラストレーションが残っている」レッドブル角田裕毅が「1ストップ作戦」で20番手から戦慄の“ごぼう抜き”で10位入賞も笑顔がなかった理由とは?チーム“重鎮”は「非常にいいレースをした」と合格点
F1の今季第7戦、エミリア・ロマーニャGP決勝が18日、イタリアのイモラ・サーキットで行われ、前日の公式予選でクラッシュを喫し、最後尾となる20番手扱いのピットスタートとなったレッドブルの角田裕毅(25)が10位に食い込んだ。タイヤ交換を1回に抑える“1ストップ作戦”の賭けに出た角田は、最後はアストンマーティンのフェルナンド・アロンソ(43、スペイン)を振り切ってフィニッシュ。2戦連続の入賞を果たし、レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務める重鎮、ヘルムート・マルコ氏(82)からは「非常にいいレースをした」と合格点をもらったが、予選で起こしたクラッシュのショックから「いまだに大きなフラストレーションが残っている」と笑顔を見せなかった。
エースのフェルスタッペンが優勝
戦慄の“ごぼう抜き”で2戦連続の入賞を果たしても、角田に笑顔はなかった。
最後尾となる20位扱いのスタートから、10位でチェッカーフラッグを受けた角田のレース後の第一声を、オランダのF1専門メディア『GP BLOG』が伝えた。タイトルに「ツノダ、10位入賞もクラッシュの影響を認める」と、打たれた記事のなかで、角田はクラッシュから一夜明けても複雑なままの心境を明かしている。
「昨日に大きなミスを犯してしまった自分に対して、いまだに大きなフラストレーションが残っている。それでも、少なくとも(10位に入賞して)チームに何かを返せたことはいいことだ。特に夜通し働いてくれたチームのメカニックたちのことを考えると、何も得られなかったよりはましだと思っている」
角田の脳裏には、前日17日の公式予選1回目(Q1)の開始早々に喫した、衝撃的なクラッシュの残像が焼きついている。幸いにも角田自身に怪我などはなかったが、ウォールに衝突した反動で宙を舞い、上下逆の状態で砂利の上に落下した角田のマシンは大破。夜を徹して、一からマシンを組み立てざるを得ない状況に直面した。
マシンに大幅な変更が加えられた関係で、クラッシュから一夜明けた決勝はピットスタートとなった。ほとんどのマシンがミディアムタイヤを選択したなかで、角田はハードタイヤでスタート。他車がハードタイヤへの交換で続々とピットインしたなかで、15周目には10位にまで順位を上げた。
角田が初めてピットインし、ミディアムタイヤに交換したのは30周目だった。ハースのエステバン・オコン(28、フランス)がストップし、バーチャル・セキュリティーカー(VSC)が出た直後のタイミングだった。
決勝は1周4.909kmのコースを63周して争われる。11位で迎えた46周目にはメルセデスのキミ・アントネッリ(18、イタリア)がコースオフ。今度はセーフティーカーが出動し、トップを走るチームメイト、マックス・フェルスタッペン(27、オランダ)らが続々とピットインしたなかで角田はコースに留まった。
後続車とのタイム差を考え、遂行された“1ストップ作戦”。残り10周で再開された直後に、勝負どころだと判断した角田はザウバーのニコ・ヒュルケンベルグ(37、ドイツ)をオーバーテイク。10位に浮上した後はチェッカーフラッグを受けるまで、ヒュルケンベルグを抜いて猛追してきたアロンソとのデッドヒートを繰り広げた。
タイヤの限界などを冷静に見極め、レース状況によってはペースを巧みに上げ下げして1ポイントを死守した角田は、レッドブルの今季のマシン、RB21をまだ完全には理解できていないと、先述の『GP BLOG』のなかで率直に認めている。
「フェラーリやウィリアムズなど、他のマシンについてはわからないけど、少なくとも僕のマシンは理解するのが簡単ではない。レースのウィークエンドを通じて、まだまだ自信と知識を築く必要があると痛感している。セッティングを大きく変更しても、何が起こるか、どのように反応すべきかがまだ正確にわからない」