
「すべては僕の責任」レッドブル角田裕毅がモナコGP初日FP2でフェルスタッペンと0.004秒差も11番手に甘んじた理由とは…前戦クラッシュ影響で旧バージョンの部品を使用
F1の今季第8戦のモナコGPが23日、モンテカルロ市街地コースで開幕し、レッドブルの角田裕毅(25)は、フリー走行2回目(FP2)で11番手に甘んじた。エースのマックス・フェルスタッペン(27、オランダ)も10番手と苦戦したが角田は0秒004差に迫った。レッドブルのRB21は、モナコの路面には適しておらず、前戦のエミリア・ロマーニャGPで喫したクラッシュの代償として角田のマシンのフロアには旧バージョンの部品が使用されていることも判明した。ハンデを背負った角田は「すべては僕の責任」と受け止めたが、“天敵コース”とされていたモナコのサーキットは「僕の好きなコース」だという。今日の公式予選でどこまで対応できるのか。
「マシンにはもう少し何かが必要だ」
トラフィック(渋滞)が頻繁に発生する市街地コースで、思うようなタイムを出せなかった。モナコGP初日のフリー走行1回目(FP1)で14番手、FP2では11番手のタイムとなった角田のコメントを、F1公式サイトが伝えた。
「いつものように、ここではちょっとしたトラフィックがよく発生する。それはみんなも同じで、いいラップを刻めるかどうかは運次第だ。FP1ではラップを出せなかったけど、幸いにもFP2では多く周回できたし、少なくともソフトタイヤから限界を読み取ることもできた。FP1から一歩進めた点でよかったと思っている」
F1が発足した1950年から開催されてきた伝統のモナコGPは、公道コースの幅が非常に狭く、19を数えるコーナーなどで難しいマシン操作が求められる。
実際、FP1では地元モナコ出身で前年覇者のフェラーリのシャルル・ルクレール(27)が開始早々にクラッシュ。FP2ではレッドブルの姉妹チーム、レーシングブルズの新人アイザック・ハジャー(20、フランス)が2度もクラッシュした。
混乱をきたした状況で慎重に臨んだ角田は、FP2で10番手と苦戦したエースのフェルスタッペンと0秒004差だった。今季第3戦の日本GP直前にレッドブルへ緊急昇格して6戦目で最も肉迫した数字にも角田は満足などなかった。
「マシンにはもう少し何かが必要だ。具体的にはあとコンマ2、3秒かな。そこには少し可能性があると確信しているので、自分でそれを絞り出したい。自分が信じることをやり続けて、ペースを上げて、予選ですべてをまとめられるようにしたい」
前戦エミリア・ロマーニャGPのFP2でも、角田はフェルスタッペンに0秒092差に迫った。しかし、翌日の公式予選1回目(Q1)の開始早々に大クラッシュ。マシンは走行不能となり、角田はタイムなしでの予選敗退を余儀なくされた。
最後尾の20番手扱いとなるピットレーンスタートから、タイヤマネジメントやピットインの戦略も奏功して10位に入賞したが、マシンが1回転するほど大破した影響は、今回のモナコGPにまで引きずっていた。
英国のモータースポーツ専門メディア『THE RACE』は「ツノダは前戦の予選で喫したクラッシュの代償をまだ払っている」と題した記事で、その影響の背景をこう明かした。
「ツノダは例のクラッシュで、レッドブルのマシンに施された最新のフロアアップグレードを失った。具体的にはサイドポッドやブレーキダクト周りの微妙な空力調整であり、スペアモノコックを中心に再構築されたマシンは、一部で旧バージョンの部品を使用せざるを得なかった。モナコでも状況は変わらず、フロアの主要部分でスペックの不一致が生じると見られ、必然的に不利な立場に立たされる」