「ツノダの態度は大人げない」…F1バーレーンGPで角田裕毅のあわや接触事故の危険な行動にリカルドが激怒して猛烈非難
F1の開幕戦となるバーレーンGPでビザ・キャッシュアップRBの角田裕毅(23)の不遜な行動をチームメイトのダニエル・リカルド(34)が猛烈批判する内紛劇が起きた。チームが、決勝のレース途中に前を走っていた角田にリカルドとの順位の入れ替えを指示。角田は不満を漏らしながらも従ったが、リカルドが順位を上げることができなかったにもかかわらず順位を譲ることをせずに13位でゴールしたため、14位に終わった角田がレース後のクールダウンラップで超接近する不穏な行動に出た。リカルドは「大人げない」と激怒して激しく非難。7日からフリー走行が始まる次戦のサウジアラビアGPを前にチームが空中分解する危険性さえ出てきた。
「冗談だろ?今か?」
事件は開幕戦のバーレーンGPの決勝で起きた。
52周目だった。13番手の角田は50周目から目の前を走るハースのケビン・マグヌッセンをオーバーテイクするタイミングをうかがっていたが、チームは無線で14番手のリカルドに順位を譲るように指示した。ハードタイヤの角田より、ソフトタイヤにしていたリカルドのペースが速くタイム差を縮めていたからだ。
だが、角田は、その指示に「冗談だろ?今か?」と明らかに不満な態度を示したが、次の周でリカルドを先行させ「みんなありがとう。感謝するよ」と皮肉をこめたメッセージを無線で伝えた。
一方で「入れ替えは予想通りでなんの驚きもなかった」「レース前から話しあっていた」というリカルドだったが、結局、残り5周でマグヌッセンを抜くことができなかった。すぐに順位を譲らなかった角田の態度に不満を漏らした。
リカルドは角田に順位を再度譲ることなく13位でフィニッシュ、角田は14位で今季の初戦を終えることになった。
だが、本当の事件は、ここからだった。ピットに戻るためのクールダウンラップの途中で、角田は、タイヤをロックさせた後に、アクセルを踏み込み、リカルドのマシンに急接近したのだ。あわや接触事故の不穏な行動にリカルドは激怒。米のESPNやFOXスポーツ豪州版などの報道によると「大人げない」と角田の行動を猛烈に非難したという。
英国デイリーエキスプレス紙によるとリカルドは「なんというヘルメット野郎だ!」と叫んだという。
「13位か14位かを気にするドライバーがいるのかどうか分からないが、ポイント圏内でないのだから僕は気にしない。チームがフィニッシュラインの前に彼を前の位置に戻そうとしたなら、僕はそうしただろう。このポジションは僕にとっては何の意味もない。クールダウンでの出来事? 未熟だったね。彼は明らかにチームオーダーにイライラしていた。私は怒った態度でここ(会見)に来ることはない」
リカルドは記者会見では冷静になって、こう説明している。
一方の角田は「この件についてコメントはしたくない。見直す必要がある」と納得していない様子だった。
米のESPNは「2021年のデビュー以来、角田は怒りっぽいとの評判を高めており、その見方はレッドブルのクリスチャン・ホーナーとヘルムート・マルコが上のチームへと彼を昇格させることをためらった理由の1つとして知られる」と角田の態度を批判。
だが、一方で英国人レースドライバーのアリス・パウエルは、英BBCのラジオで「ユウキのああいう反応は、ある意味、賛同できる。なぜ今なのか、シーズンの開幕戦でなぜなのか? 角田は前のマグヌッセンから0.5秒差にいて、マックス・フェルスタッペンに周回遅れにされるところだった。私は、なぜ彼らが順位の入れ替えに傾いたのか分からない」と、RBの順位入れ替えの指示に疑問を呈した。
チームのCEOが見解を伝えて火消しに走っているが、チーム内に不穏な遺恨を残したままRBは、次戦のサウジアラビアGPを迎える。
(文責・RONSPO編集部)