
レッドブルに激震!「辞める理由は何も説明されていない」ホーナー代表の電撃解任の理由と苦悩が続く角田裕毅への影響は?
F1のレッドブルは9日、クリスチャン・ホーナー代表(51、英国)を電撃解任し、後任に姉妹チーム、レーシングブルズ代表のローラン・メキース氏(48、フランス)が就任したと発表した。20年間も代表を務めてきたホーナー氏を解任した理由は明かされていないが、海外メディアはコース外での論争や内部分裂、チームのパフォーマンスの急激な低下などが引き金になったと伝えた。極度の不振に苦しむ角田裕毅(25)も一因になったと見られる一方で、レーシングブルズ時代から角田の実力を高く評価してきたメキース新代表の就任で追い風が吹く可能性も出てきた。
新代表はレーシングブルズ代表のローラン・メキース氏
F1界に激震が走った。
レッドブルがF1に参戦した2005年に代表に就任以来、この20年の間にドライバーズ王者を8度、コンストラクターズ王者を6度獲得するなど、チームを強化してきたホーナー氏の電撃解任を発表した。チーム側は解任に至った理由などをいっさい説明せず、後任のメキース氏と合わせたチーム内の人事を発表しただけだった。
そのなかで、オランダのF1専門メディア『GP BLOG』は、前日8日の段階で代表職を解くと通告されていたホーナー氏のコメントを初めて伝えた。
「(代表を)辞める理由は何も説明されていない」
英国のモータースポーツ専門メディア『TOTAL-MOTORSPORT.COM』は、シーズン途中の代表交代の背景を次のように分析している。
「昨年1月以来のコース外での論争に加えて内部分裂、チームのパフォーマンスの急激な低迷が、彼の解任につながったと私たちは確認している」
コース外の論争とは、不適切な行為があったとして、ホーナー氏が同僚女性から昨年2月に告発された一件を指す。昨夏の控訴審で棄却されるまで、ホーナー氏はレッドブルの内部調査に対して一貫して告発された内容を否定していた。
内部分裂とは昨季の間に、レーシング最高技術責任者を務めていたエイドリアン・ニューウェイ氏(66、英国)や、スポーツディレクターのジョナサン・ウィートリー氏(58、英国)らがレッドブルから流出した問題だろう。いずれもホーナー氏が持つ権力が膨らみすぎた状況に、嫌気がさしたのが理由とされている。
加えてチーム成績の低迷も大きな解任理由のひとつだろう。
ドライバーズ選手権で4連覇中のエースのマックス・フェルスタッペン(27、オランダ)は12戦を終えた段階でわずか2勝。ランキングでマクラーレン勢に大きく引き離され、5番手に終わった先の英国GP決勝後には、ホーナー氏、フェルスタッペンの父親のヨス氏、マネージャーのレイモンド・フェルミューレン氏がパドックで激しく口論している姿が目撃されていた。
マシンの開発が大きく遅れる影響で大苦戦を強いられ、5年連続のドライバーズ王者獲得に暗雲が垂れ込めている。こうした状況と相まって、2029年まで契約の残っているフェルスタッペンが違約金を払って来季からメルセデスへ移籍するという情報も駆け巡っていた。
ホーナー氏の解任は、そのフェルスタッペンを引き留めるための方策とも受け止められる。
オランダメディアの『De Telegraaf』は、ホーナー氏の解任を受けたフェルミューレン氏の意味深なコメントを伝えている。
「レッドブルの経営陣から、今回の決定がなされたことを私たちは事前に知らされていた。理由に関する詳細な説明はレッドブル側が行う。私たちは引き続きスポーツ面だけを注視して、トップに返り咲くためにさらなるパフォーマンスの向上を目指していく。この点に関しては、何も変わることはない」