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  • 「166kmを見たら自分もまた努力できる」なぜ西武4年目の羽田慎之介は日本人左腕史上最速の「160km」を叩き出せたのか…その1球は四球に終わるも西口監督や古賀捕手が絶賛
西武の羽田慎之介が日ハム戦で日本人左腕としてNPB史上最速となる160kmをマークした
西武の羽田慎之介が日ハム戦で日本人左腕としてNPB史上最速となる160kmをマークした

「166kmを見たら自分もまた努力できる」なぜ西武4年目の羽田慎之介は日本人左腕史上最速の「160km」を叩き出せたのか…その1球は四球に終わるも西口監督や古賀捕手が絶賛

 西武の4年目左腕、羽田慎之介(21)が14日の日本ハム戦(東京ドーム)で、日本人左腕では一軍公式戦史上最速となる「160キロ」をマークした。羽田は1-2で迎えた8回に2番手で登板。二死二塁で5番の野村佑希(25)にフルカウントから投じた外角低目のストレートが自身が持っていた日本人左腕の歴代最速記録を1キロ更新した。四球となった直後に降板した大型左腕は、目標に掲げてきた大台到達にも「まだまだ球速を伸ばしていきたい」と通過点であることを強調した。なお試合は日ハムの達孝太(21)に2試合連続の完投勝利を許して1-2で敗れた。

 外国人も含めると過去左腕最速はエスコバー(横浜DeNA)の163キロ

 東京ドームがどよめいた。
 右打席に立つ野村へ、羽田がフルカウントから投じた6球目。外角低目のストレートがボールと判定され、二死一、二塁とピンチを広げた直後にマウンド上で顔をしかめ、落ち着かせようと帽子をかぶり直したときだった。
 バックスクリーンのオーロラビジョンに「160km」が表示された瞬間に、日本プロ野球史が塗り替えられた。自身が持っていた日本人左腕の歴代最速記録を1キロ更新し、同じく日本人左腕として一軍の公式戦史上で初めて未知の領域へ足を踏み入れた羽田は、160キロが出た感触はあったのか、と問われると首を横に振った。
「いや、なかったです。(160キロが)出るとは思わなかったです」
 左腕エースの隅田知一郎(25)が、5回に1番・水谷瞬(24)に痛恨の先制2ランを被弾。7回に4番・ネビン(28)のソロで追い上げるも1-2とあと一歩届かず、売り出し中の日本ハムの右腕・達に6月29日の対戦に続いて完投を許した一戦。チームの貯金もゼロになった苦境で、唯一の光明となったのが羽田の160キロだった。もっとも、羽田自身は3日前のトラウマを振り払うのに必死だった。

 ZOZOマリンスタジアムで11日に行われた千葉ロッテ戦。2-2で迎えた9回裏に5番手で登板した羽田は、二死から連続死球を与えてしまう。特に3番・安田尚憲(26)に与えた2つ目は右頭部を直撃。133キロのスライダーがすっぽ抜けた形の死球だったが、審判団は協議の末に羽田へ危険球退場を告げた。
 急きょ登板した右腕・黒木優太(30)がサヨナラのピンチを防いだ試合は、延長12回の末に引き分けた。それでも、優位なはずの左打者に対する恐怖心が残った。8回表から2番手で、危険球退場後では初めて登板した日本ハム戦。左打席に立つ先頭の2番・矢澤宏太(24)へ、羽田はいきなりボールを3球続けてしまう。
 しかも、外角高目へ外れた初球のストレートは152キロ。最終的にはフルカウントから四球を与えてしまったときの心境を、羽田はこう明かしている。
「先頭打者を出したくなかったんですけど、普通に怖かったですね。左打者に投げるのが怖くて、思ったより球速も出なくて、という感じでした」
 続く3番・清宮幸太郎(26)も左打者。しかし、トラウマを乗り越えられるのは自分しかいない。3球目の158キロのストレートでファウルさせ、カウント1-2と追い込んだ直後。内角低目へ落とす141キロのカットボールで三振に仕留めた。
 パ・リーグのホームラン、打点の二冠を独走する4番・レイエス(30)を右打席に迎えても、羽田は初球から158キロのストレートをど真ん中へ投じる。ファウルするのが精いっぱいだったレイエスのバットも、1-2から投じられた外角高目のストレートに空を切った。このときに矢澤が二盗を成功させ、5番の野村を迎えた。
 野村に対しては5球目までフォークやカットボール、そしてシュートでフルカウントとする。満を持す形で投じた6球目のストレートが、ボールながら160キロを記録した。しかし、ボールを受けた古賀悠斗(25)は驚かなかった。
「羽田に関しては160キロに近い球を、ずっと投げていたので」

 

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